2027年度アクチュアリー試験 制度改正の全貌 — 経過措置を使い切る
📅 2026年9月28日 公開
受験年度で「必要な勉強量」が変わる
2027年度から、アクチュアリー1次試験のKKT(会計・経済・投資理論)は2科目に分割されます。日本アクチュアリー会の公式発表(2026年4月1日付)に基づく事実です。この記事では制度改正の内容を整理し、あなたが今どの立場にいるかによって最適な戦略がどう変わるかを示します。
何が変わるのか
| 2026年度まで(現行) | 2027年度以降 | |
|---|---|---|
| 科目 | KKT 1科目(会計・経済・投資理論) | 2科目に分割 |
| 新科目① | — | 会計・経済・金融システム |
| 新科目② | — | リスクマネジメント・投資理論 |
| 合否判定 | 100点満点で総合60点+各分野40% | それぞれ独立に合格が必要 |
| 学習範囲 | 会計・経済・投資理論 | 左記+金融システム+リスクマネジメント |
ポイントは2つ。①合格が2回必要になることと、②新しい学習領域が追加されることです。従来のKKTの範囲がなくなるわけではなく、そこに上乗せされる形になります。
なぜ変わるのか — 背景にある教育シラバス
この改正は突然決まったものではありません。2024年3月に公表され2025年度から施行された「教育シラバス」が土台にあります(シラバス読解①)。
シラバスでは「アクチュアリーに求められる専門的知識・技術も高度化・多様化している」との認識のもと、知識領域が再整理されました。そこに金融システム、アクチュアリアル・リスクマネジメント、データとシステムといった新領域が明記され、公式の参考文献も示されています(シラバス読解②)。今回の科目分割は、この知識体系の再編を試験制度に反映させたものと理解できます。
経過措置 — 2026年度合格者は「新2科目分」とみなされる
制度改正で最も重要なのがこの点です。2026年度までにKKTに合格した人は、所定の研修(特定分野2研修)を受講することで、新しい2科目に相当するものとみなされます。
公式発表によれば、この特定分野2研修の実施は2027年度夏(2027年8〜9月頃)が最後とされています。つまり——
2027年度以降に持ち越すと、従来のKKT範囲に加えて金融システム・リスクマネジメントを学習し、2科目を別々に受験することになります。
「試験としての通過コスト」は、今年度が最も小さい——これは制度の構造から言える事実です。
立場別の最適戦略
① 2026年度にKKTを受験する人(最優先)
迷わず今年度で決めきること。経過措置の対象となる最後の年度です。学習はKKT勉強法ガイドと足切り戦略に沿って、会計16+経済16+投資理論30=62点の設計で進めてください。新科目のことは、合格するまで考える必要はありません。
② 2026年度は他科目を受験し、KKTは来年以降の人
もし余力があるなら、今年度KKTも併願する価値があります。他の数理科目と比べてKKTは数学的な準備が軽く、短期集中が効きやすい科目です(合格者7人の体験談分析では9月開始で合格した例もあります。ただし会計・経済の素地がある人の例です)。「1科目分の労力で2科目分」の機会は今年で最後です。
③ 2027年度以降が初受験になる人
経過措置は使えませんが、慌てる必要はありません。新科目は従来のKKTの範囲を土台に、新領域が加わる構成と考えられます。つまり今のうちに会計・経済・投資理論を学んでおくことは、そのまま新制度の準備になります。本サイトの無料講義29章は引き続き有効な教材です。
新領域については、公式参考文献に挙げられた『経済主体の日本金融論』(国際書院)、『保険ERM経営の理論と実践』(きんざい)が出発点になります。
注意点 — 確定情報は必ず公式で
試験範囲・出題形式・配点・教科書指定などの詳細は、各年度の資格試験要綱で確定します。アクチュアリー会自身、参考文献リストについて「各年度の試験・研修において実際に教科書指定される文献等は、それぞれ対応する資格試験要綱等をご参照ください」と注記しています。本記事は制度の全体像をつかむためのものとして活用し、手続きや範囲の最終確認は必ず公式サイトで行ってください(記事末尾の参考リンク)。
まとめ
制度改正は「難しくなる」という話ではなく、アクチュアリーに求められる知識が広がっているという話です。金融システムもERMも、実務では避けて通れない領域になりました。
そのうえで、試験の通過コストという一点で見れば、2026年度が最も有利——この事実だけは押さえておいてください。今年受けられる人は、今年で終わらせましょう。
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