アクチュアリー試験「会計」の勉強法 — 簿記知識ゼロから25点を取りに行く
📅 2026年8月21日 公開
会計という科目の「正体」を先に知る
会計の勉強法は、この科目の得点構造を知ることから始まります。過去問10年分析で見たとおり、会計25点の内訳は知識問題が約15点(問1〜3)、計算問題が約10点(問4〜5)。この比率は10年間ほぼ変わっていません。
ここから導かれる結論はシンプルです。会計は「知識で守り、計算で上積みする」科目。数学が得意かどうかはほぼ関係なく、広い範囲を漏れなく押さえた人が安定して得点します。簿記の経験がなくても心配いりません——正しい順序で積み上げれば、ゼロからでも十分に間に合います。
学習ロードマップ — 4段階で25点中16点へ
第1段階: 簿記の「型」を体に入れる(約5時間)
最初の関門は複式簿記です。借方・貸方、5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)、仕訳から財務諸表への流れ——ここがあいまいなまま先へ進むと、後半の論点すべてで足を取られます。本サイトの第2章 利益計算の仕組みとコラム「複式簿記の仕組み」で、「取引を見たら仕訳が浮かぶ」状態を最初に作ってください。簿記3級レベルの厳密さは不要で、構造の理解で足ります。
第2段階: 基礎概念で「幹」を立てる(約10時間)
講義の第1〜4章(財務会計の機能と制度・簿記・会計理論・資産評価の基礎概念)が会計全体の幹です。特に第3章の企業会計原則と概念フレームワークは、10年分析で「ほぼ毎年出る」と確認された知識問題の中心。ここで「なぜこの処理をするのか」という理屈を押さえると、以降の各論の暗記量が体感で半分になります。
第3段階: 個別論点を回す(約20時間)
第5章以降の各論(有価証券・棚卸資産・固定資産・負債・純資産…)は、頻出領域から優先順位をつけて回します。10年分析に基づく優先順位は——
- 毎年出る系: 棚卸資産(10年で9年)、固定資産・減価償却(毎年)、社債(8年)
- 計算の山: 企業結合・事業分離(計算問題で10年連続)——のれんの計算は必修
- トレンド系: 収益認識基準(2020年度以降6年連続)、繰延資産の限定列挙(10年で7回)
- その後に退職給付・税効果・包括利益などを追加
第4段階: 類題演習で「解ける形」に変える(約15時間)
知識のインプットが7割できたら、類題トレーニングに切り替えます。会計の知識問題は「読んだことがある」と「選択肢を切れる」の間に距離があり、その距離は演習でしか埋まりません。間違えた問題は講義の該当章に戻り、周辺知識ごと固め直す——このループが最も効率的です。
会計ならではの勉強のコツ3つ
① 正誤問題は「誤りの作られ方」で覚える
出題者が誤りの選択肢を作る手口には型があります。「原則と例外の入れ替え」「数値・期限のすり替え」「似た用語の交換(例: 発生主義と実現主義)」。講義を読むとき、「この文はどこを変えられたら誤りになるか」と自問する癖をつけると、正誤問題の得点が安定します。
② 計算は「仕訳を書いてから」解く
企業結合や社債の計算問題は、頭の中だけで処理しようとするとミスが出ます。簡単でも仕訳(またはボックス図)を書き、機械的に集計する型を作りましょう。型ができれば、数値が変わっても同じ手順で解けます。
③ スキマ時間と相性が良いことを活かす
会計の知識論点は1つ1つが独立しているため、通勤中の10分でも1論点回せます。暗記カードや講義の要点部分をスマホで回す「細切れ学習」を、机に向かう計算演習と組み合わせてください。
教材の組み合わせ方
①本サイトの講義(無料・全12章)で理解 → ②『合格へのストラテジー』で試験目線の整理 → ③類題トレーニングで反復 → 理解が深まってきたら④指定教科書『財務会計講義』で細部を確認、という4点セットが会計の標準装備です。次回の勉強法シリーズでは経済編をお届けします。
※ 厳密に言えば(補注)
- 「足切り(10点)」は会計分野の基準点(配点の40%)を指します。KKTの合格には、各分野の基準点に加えて総得点の合格基準も満たす必要があります。基準点・合格基準は受験年度の日本アクチュアリー会「試験要領」でご確認ください。
- 「収益認識基準(2020年度以降6年連続)」は試験での出題年度を指します。収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)自体は2018年3月公表で、原則として2021年4月1日以後開始する事業年度から適用されています。
- 指定教科書『財務会計講義』(桜井久勝著、中央経済社)は版を重ねているため、受験年度の試験要領・シラバスで指定されている版をご確認ください。
📖 あわせて学ぶ(無料講義・動画)
📚 参考文献・参考リンク
- 桜井久勝『財務会計講義』中央経済社
- 当サイト類題データベース(2016〜2025年度・753問)の集計