【過去問10年分析①】会計 — 25点中約15点は知識問題。「広く浅く」を制する
📅 2026年8月10日 公開
今回から3回にわたり、アクチュアリー試験KKTの過去10年分(2016〜2025年度)の出題傾向分析をお届けします。本サイトが実試験10年分を類題化した753問のデータベースと実試験本文を集計した結果に基づく分析です(集計の性質上、配点に±1〜2点の端数誤差があり得ます)。第1回は会計編です。
大問構成 — 10年間ほぼ変わらない「役割分担」
会計は毎年、問1〜問5の5大問・小問20問前後で出題されており、各大問の役割は10年間驚くほど安定しています。
| 大問 | 形式 | 内容 | 配点目安 |
|---|---|---|---|
| 問1 | 穴埋め(語句選択) | 会計理論・制度会計の知識 | 4〜5点 |
| 問2 | 正誤判定 | 幅広い基礎知識 | 4〜5点 |
| 問3 | 穴埋め・正誤の混合 | 会計基準の各論 | 5〜6点 |
| 問4 | 計算 | 個別論点の計算 | 5点 |
| 問5 | 計算 | 総合的な計算(企業結合等) | 5〜6点 |
つまり会計25点の内訳は、前半の知識問題が約15点、後半の計算問題が約10点。この比率が10年間ほぼ一定です。ここから会計という科目の性格がはっきり見えてきます——計算が苦手でも、知識で15点分を守れる科目だということです。1問1点前後の小問が20問前後並ぶ構成なので、深掘りより「広く浅く」の網羅性が得点に直結します。
データで見る頻出領域 — 「ほぼ毎年出る」7領域
10年分の出題を集計すると、次の領域はほぼ毎年出題されています。
- 企業会計原則・一般原則(真実性・正規の簿記・保守主義など)— 10年で少なくとも8年。問1・問2の定番
- 制度会計(会社法の機関設計、大会社の判定、有価証券報告書の提出期限など)— 毎年1〜2問
- 簿記の基礎(借方・貸方、経過勘定、決算整理)— 毎年
- 棚卸資産(評価方法、売価還元法、洗い替え/切放し)— 10年で9年
- 固定資産・減価償却(200%定率法、減損、圧縮記帳、資産除去債務)— 毎年
- 企業結合・事業分離(合併・株式交換・のれん計算)— 計算問題として10年連続
- 社債(利息法による償却原価、転換社債)— 10年で8年
この5年のトレンド — 収益認識基準の6年連続出題
頻度がやや下がる「10年で5〜7年」の層には、引当金の計上要件、退職給付会計、税効果会計、包括利益、繰延資産の限定列挙(10年で7回!)などが並びます。この層で見逃せないのがトレンドの変化です。
収益認識に関する会計基準(5ステップ・変動対価・契約負債など)は、2020年度以降、6年連続で出題されています(新基準の原則適用は2021年4月1日以後に開始する事業年度からです)。新しい基準は出題者にとって「問いたいテーマ」なのです。同じ理由で、会計には毎年1問程度の「時事枠」があります。ESG情報(2021・2024)、暗号資産の会計処理(2024)、リース会計の使用権資産モデル(2023)——問2の前後に新基準・時事トピックが混ざるパターンが確認できます。
データから導く会計の得点戦略
- 目標は25点中16点前後。足切りライン(10点)を大きく超え、かつ深追いしない水準です。
- 知識15点分を先に固める。企業会計原則・制度会計・棚卸・固定資産・繰延資産・社債という頻出領域の基礎知識で、問1〜3の大半をカバーできます。
- 計算は企業結合を最優先。10年連続出題の実績があり、パターンも安定しています。次いで社債の利息法、退職給付、税効果の順。
- 新基準のアンテナを張る。収益認識は6年連続。直近で改正・話題になった基準は講義・教科書の該当章を一読しておきましょう。
- 正誤判定は「誤りを見抜く」練習を。正しい文の暗記ではなく、「どこが書き換えられたら誤りになるか」を意識した学習が問2対策になります。
学習への落とし込み
本サイトの会計講義(全12章)は、今回挙げた頻出領域をすべてカバーしています。講義で理解したら、類題トレーニングで該当年度の問題を解いてみてください。類題は実試験と1:1対応なので、「この論点が実際にどう問われたか」をそのまま体感できます。
次回は経済編。計算問題が「4大パターン」に収束しているという、対策効率のきわめて高い事実をデータでお見せします。
※ 厳密に言えば(補注)
- 本文の「リース会計の使用権資産モデル(2023)」は、2023年度試験で扱われたトピックを指しています。新リース会計基準(企業会計基準第34号)そのものの公表は2024年9月で、原則適用は2027年4月1日以後に開始する事業年度からです。2023年当時は公開草案などを背景とした時事的論点でした。
📖 あわせて学ぶ(無料講義・動画)
📚 参考文献・参考リンク
- 当サイト類題データベース(2016〜2025年度・753問)および実試験本文の集計
- 日本アクチュアリー会(実試験の過去問題)