経済

【過去問10年分析②】経済 — 計算問題は「4大パターン」に収束する

📅 2026年8月11日 公開

✍️ 企画: アクチュアリー受験研究会 代表 MAH / 監修: 栗山太一(公認会計士・税理士)|プロフィールを見る

実試験10年分の集計による経済分野の傾向分析。余剰分析は10年連続、信用乗数とマーシャルのkは各8年、ナッシュ均衡は10年連続——計算問題が4つのパターンに集中している事実と、2020年度以降の正誤判定形式へのシフトを踏まえた対策を解説します。

過去問10年分析の第2回は経済編です。前回同様、本サイトが実試験10年分(2016〜2025年度)を類題化した753問のデータベースと実試験本文の集計に基づきます(配点は±1〜2点の端数誤差があり得ます)。経済のデータを眺めると、ある明確な事実が浮かび上がります——計算問題は、ごく少数のパターンに収束しているのです。

大問構成と2つの形式変化

大問形式内容
問6全10年: 正誤判定(正しい記述の組み合わせ選択)ミクロ・マクロ・ゲーム理論の知識を横断
問7小問集合(計算中心)ミクロ計算+マクロ計算+ゲーム理論の混成
問8計算大問余剰分析(税・貿易)または貨幣・マクロモデル
問9(2022〜)計算大問マクロモデル等、問8と分野を分担

過去10年で形式面の大きな変化は、2022年度から4大問制になり、問8・問9が「1大問1テーマの連続計算」になったことです。2022年度以降の4年間は構成が完全に安定しているので、直近4年分の過去問がフォーマット面で最も参考になります。

分野バランスは類題データの集計でミクロ約13点/マクロ約10〜12点。どちらかを捨てる選択肢はなく、両方から取る前提の配点です。

計算問題は「4大パターン」に収束する

10年分の計算問題を分類すると、出題は次の4パターンに強く集中しています。

パターン出題実績(10年中)内容
① 余剰分析10年連続需要・供給の均衡、消費者余剰・生産者余剰、課税の死荷重(7年)、自由貿易・関税(6年)
② ナッシュ均衡10年連続2×2ゲーム・3人ゲーム・パラメータ範囲。混合戦略(3年)、繰り返しゲーム等
③ 信用乗数8年ハイパワードマネー・マネーストック・信用創造
④ マーシャルのk8年貨幣数量説・ケンブリッジ方程式

このほか、GDPの三面等価(8年)、乗数理論(7年)、企業の利潤最大化(8年)、流動性の罠・クラウディングアウトの知識問題(8年)が続きます。逆に言えば、この4大パターン+周辺論点を仕上げれば、経済の計算問題の大半に対応できることがデータから読み取れます。

ゲーム理論は10年連続出題で、しかも比重が上がっています。2025年度は問8がまるごと繰り返しゲーム(5点)でした。囚人のジレンマ→ナッシュ均衡→混合戦略→繰り返しゲームまで、一段深いところまで手を伸ばしておく価値があります。

定番の問6 — 「誤りを見抜く」正誤判定

問6は過去10年を通じて正誤判定形式で出題されており、これは学習法に直結します。用語を覚えるだけでは足りず、正誤判定では「もっともらしいが誤っている記述」を見抜く力が要ります。たとえば「上級財・下級財」「名目と実質」「ストックとフロー」のような対概念のすり替え、条件の過剰一般化——誤りの作られ方には型があります。講義を読むときから「この文のどこを変えたら誤りになるか」を考える癖をつけると、問6が安定します。

データから導く経済の得点戦略

  1. 目標は25点中16点前後。足切り10点を安全に超える水準です。
  2. 4大パターンの計算を完全にする。余剰分析・ナッシュ均衡・信用乗数・マーシャルのk。この4つは「解けるかどうか」ではなく「速く正確に解けるか」の水準まで反復します。
  3. ミクロはグラフ、マクロは式。余剰分析は図を描いて面積を計算する型、貨幣系は公式に数値を当てる型と、分野で作業の型が違います。
  4. 問6対策は正誤のひっかけパターン分析。過去の正誤問題を「どこが誤りだったか」に注目して復習します。
  5. 直近4年(2022〜2025)を優先。現行フォーマットでの時間配分の感覚を作れます。

学習への落とし込み

本サイトの経済講義(全9章)では、①余剰分析は第1・4章、②ゲーム理論は第5章、③信用乗数と④マーシャルのkは第8章で扱っています。4大パターンに対応する章から仕上げ、類題トレーニングで年度をまたいで反復する——これが経済の最短ルートです。

次回は最終回、投資理論編。「分野別配点が10年間ほぼ固定」という、KKTで最も対策が立てやすい科目の実像をデータで示します。

※ 厳密に言えば(補注)

  • 表の「出題実績(10年中)」は各論点を含む問題が出た年度数であり、計算問題全体に占める問題数・配点の割合そのものではありません。「大半に対応できる」は、年度をまたいだ頻出度から優先順位を示す趣旨です。
  • 「貨幣系は公式に数値を当てる型」はあくまで作業の型の傾向です。実際には信用乗数の前提(準備率・現金保有比率など)や均衡条件を確認してから式を立てる読み取りも必要になります。
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