【過去問10年分析③】投資理論 — 分野別配点が10年間ほぼ固定という事実
📅 2026年8月12日 公開
実試験10年分の集計による投資理論の傾向分析。CAPMは9年連続で7点、デリバティブは毎年11点前後で単一分野として最大——「どの分野が出るか」の不確実性がほぼゼロという配点データを示し、配点50点の主戦場をどう攻略するかを解説します。
過去問10年分析の最終回は、配点50点の主戦場・投資理論です。実試験10年分(2016〜2025年度)を類題化した753問のデータベースの集計から(配点±1〜2点の端数誤差あり)、この科目のもっとも重要な事実をお伝えします——投資理論は「どの分野が出るか」の不確実性がほぼゼロです。
2022年度以降は「1大問=1分野」の8大問制で完全固定
2022年度の再編以降、投資理論は8大問制で、出題順まで固定されています。
問10 効用理論 → 問11 ポートフォリオ理論 → 問12 CAPM → 問13 リスクニュートラル・プライシング → 問14 債券投資分析 → 問15 株式投資分析 → 問16 デリバティブ評価 → 問17 デリバティブ投資分析
そして分野別配点も、再編前を含めた10年間を通してほぼ動いていません。10年間の合計配点で並べると——
| 分野 | 10年合計 | 年あたり目安 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| デリバティブ(評価+投資分析) | 109点 | 10〜11点 | 10年中9年で11点前後。単一分野として最大 |
| 株式投資分析 | 84点 | 8〜9点 | DDMが10年連続の中心 |
| 債券投資分析 | 82点 | 8〜9点 | レート換算がほぼ毎年 |
| CAPM | 69点 | 7点 | 2017年度以降9年連続で7点ちょうど |
| リスクニュートラル | 61点 | 5〜7点 | 状態価格の連立が10年で8年 |
| ポートフォリオ理論 | 49点 | 5点前後 | 最小分散(8年)と接点ポートフォリオ(7年) |
| 効用理論 | 46点 | 5点前後 | 確実等価額の計算が10年で7年 |
CAPMが9年連続で7点ちょうど、デリバティブが毎年11点前後——ここまで配点が固定された科目は他にありません。「全分野を、毎年ほぼ同じ配点で問う」と宣言されているに等しいのです。ヤマを張る必要も、張る余地もありません。全7分野を淡々と仕上げた人が勝ちます。
分野ごとの「定番の型」— 出題実績つき
- 効用理論: u(x)を与えて期待効用→確実等価額(10年で7年)→リスク・ディスカウント額(7年)の3段構成が反復。リスク許容度も6年
- ポートフォリオ理論: 最小分散ポートフォリオ(8年)・接点ポートフォリオ(7年)が二枚看板。近年はVaRが2020・2022・2025と頻度上昇
- CAPM: βの計算、リスクの市場/非市場分解、シャープ比、ジェンセンのα。型が最も安定しており、過去問反復の効果が最大
- リスクニュートラル: 状態価格の連立方程式(8年)→リスク中立確率→先物・オプションの評価
- 債券: スポット/フォワード/パー・レートの相互換算(ほぼ毎年)、修正デュレーション・コンベキシティ(7年)、近年は信用リスク(デフォルト確率・CDS)が増加
- 株式: DDM(定率成長・多段階)が10年連続。残余利益モデル、DCFとWACC、PER・PBR・EV/EBITDAの倍率法
- デリバティブ: 二項モデルが10年連続、オプション戦略の損益図が9年、プット・コール・パリティが6年。BSグリークスは2021年以降5年連続
もう一つ、構成上の定番があります。各大問の末尾に理論の正誤判定(4記述前後)が付く形です。計算だけ練習していると、この「最後の1〜2点」を毎大問で落とします。講義の理論説明を「正誤で問われたら」という目線で読み込むことが、合計で数点の差になります。
データから導く投資理論の得点戦略
- 目標は50点中30点前後。足切り(20点)を大きく超え、総得点60点の柱にする水準です。
- 配点順ではなく、依存関係順に学ぶ。効用→ポートフォリオ→CAPM→リスクニュートラル→デリバティブは積み上げ構造。配点最大のデリバティブは、実は前の分野の理解の集大成です。
- 「型の反復」が最も効く科目。確実等価額の3段構成、状態価格の連立、二項モデル、DDM——各分野の定番の型を、数値を変えて何度も回します。
- 末尾の理論正誤を捨てない。各大問1〜2点×8大問は、合否を分ける規模です。
- 近年増加中の実務寄りトピック(VaR、グリークス、信用リスク)は、直近4年分の過去問で重点確認を。
3回のまとめ — 60点の設計図
3回の分析を合わせると、合格ライン60点の設計図が描けます。会計16点(知識で守る)+経済16点(4大パターン)+投資理論30点(全分野を型で取る)=62点。出題実績のデータに裏付けられた、現実的な合格モデルです。
本サイトの投資理論講義は効用理論からデリバティブまで積み上げ順に構成しており、類題トレーニングは今回集計した753問そのものです。データが示した「型」を、そのまま演習で仕上げてください。
※ 厳密に言えば(補注)
- 「7点ちょうど」などの配点数値について: 本文の分野別配点は当サイト独自の分類・集計に基づく値です。冒頭に記した「配点±1〜2点の端数誤差あり」の但し書きのとおり、「9年連続で7点ちょうど」も当サイトの分類上の集計値であり、厳密には「ほぼ7点で安定して推移」と読んでください。
- 合格ライン・足切りについて: 合格基準は「満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点」と定められており、60点は固定の合格点ではありません。分野別の最低ライン(本文の「足切り20点」=投資理論50点の40%)も含め、正確な基準は受験年度の試験要領・受験案内でご確認ください。
- 「積み上げ構造」について: 理論的に厳密に言えば、CAPMは市場均衡に基づくモデル、リスクニュートラル・プライシングは無裁定条件に基づくモデルで、両者の理論的基礎は異なります。本文の「積み上げ構造」は学習のしやすさの観点からの推奨順序であり、前の分野が後の分野の数学的前提になっているという意味ではありません。
- 将来の出題について: 「不確実性がほぼゼロ」「宣言されているに等しい」は過去10年の出題実績に基づく表現です。試験実施団体が出題構成や配点を保証しているわけではなく、将来の形式・配点が変わる可能性はあります。
📖 あわせて学ぶ(無料講義・動画)
📚 参考文献・参考リンク
- 当サイト類題データベース(2016〜2025年度・753問)および実試験本文の集計
- 日本アクチュアリー会(実試験の過去問題)
PRFREE GUIDANCE
ゼロから始める損保数理 合格ガイダンス
数学初級者のための7日間集中メール講座(無料・過去問ワークブックNEO 特典付き)
無料で受け取る
PREBOOK LIBRARY
合格への“次の一冊”が、ここにある。試験対策ライブラリー
『合格へのストラテジー』シリーズほか、アクチュアリー試験対策の電子書籍を購入・閲覧できるオンライン書庫
本棚をのぞく