桜井久勝『財務会計講義』— 日本で最も読まれる会計教科書と、その著者を知る
📅 2026年8月14日 公開
「会計25点」の土台となる一冊
アクチュアリー試験「会計」分野の出題範囲は、指定教科書である桜井久勝『財務会計講義』(中央経済社)を基礎としています。つまり会計で問われる知識の「原典」はこの一冊。本サイトの会計講義(全12章)も本書に準拠して構成しています。今日はこの定番教科書と、その著者を紹介します。
著者・桜井久勝氏 — 会計学界を代表する研究者
著者の桜井久勝(さくらい・ひさかつ)氏は、神戸大学で長く教鞭をとった会計学者です。神戸大学は日本の会計学研究の一大拠点として知られ、桜井氏はその中心的存在として財務会計研究と教育に携わってきました。公認会計士試験の試験委員や金融庁の公認会計士・監査審査会会長など、制度の側の要職も歴任しており、「研究・教育・制度」の三方向から日本の会計を見てきた人物です。
『財務会計講義』のほか、姉妹書『財務諸表分析』も広く読まれており、大学の会計教育では「桜井本で学んだ」という会計士・経理パーソンが数多くいます。
『財務会計講義』はどんな本か
本書の最大の特徴は、「制度の暗記」ではなく「理論による説明」を貫いていることです。会計基準は一見バラバラなルールの集まりに見えますが、本書は「なぜこの処理をするのか」を利益計算の理論から一貫して説明してくれます。この「なぜ」がわかると、細かい規定は芋づる式に頭に入ります。
もう一つの特徴は改訂の頻度です。初版から30年以上、会計基準の改正を追いかけてほぼ毎年改訂されています。収益認識基準やリース会計など、近年の大きな基準変更もきちんと反映されており、「最新の制度を正確に学べる」という安心感は他書にない強みです。アクチュアリー試験対策としても、手元に置くなら最新版をおすすめします。
試験範囲との対応 — どこを読むべきか
本書は500ページを超える大著ですが、アクチュアリー試験との対応で見ると強弱をつけられます。本サイトの講義章立て(=本書準拠)でいえば——
| 本サイトの講義 | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 第1〜4章 | 財務会計の機能と制度・複式簿記・会計理論・資産評価の基礎概念 |
| 第5〜9章 | 有価証券・売上債権・棚卸資産・固定資産など資産側の個別論点 |
| 第10〜12章 | 負債・純資産・財務諸表の作成公開 |
初学者がいきなり通読すると、第1章の制度論で挫折しがちです。おすすめは本サイトの講義で各章のポイントをつかんでから、対応する本書の章を読む順番。「知っていることを確認しながら読む」状態を作ると、大著でも驚くほど読み進められます。
まとめ — 良い教科書は「合格後」も使える
『財務会計講義』は試験対策書ではなく、会計の考え方を一生モノにしてくれる教科書です。アクチュアリーとして働き始めれば、保険会社の決算・退職給付・税効果と、本書で学んだ内容に毎日出会います。試験をきっかけに、キャリアの資産になる一冊を手に入れてください。
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明日は経済の指定教科書、伊藤元重『入門経済学』を紹介します。
※ 厳密に言えば(補注)
- 本文で「500ページを超える大著」と書きましたが、中央経済社の書誌情報によれば最新の第27版は464ページです。版によりページ数は増減しますが、いずれにせよ通読には相応の分量がある、という趣旨でお読みください。
- 「日本で最も読まれる」という紹介は、出版社(中央経済社)が「わが国で最も読み継がれている財務会計のテキスト」と紹介していることに基づく表現で、販売部数等の客観統計で他書と比較したものではありません。
- 「指定教科書」の版や出題範囲は試験年度ごとに日本アクチュアリー会の受験要領で指定されます。また「原典」とは学習上の基本文献という意味で、会計基準や法令そのものの原典を指すものではありません。
- 「最新版をおすすめ」は書籍を学び直す一般論としてのおすすめです。試験対策としては、当該年度の受験要領で指定された版を優先し、必要に応じて最新版で制度改正を補うのが確実です。
- 「最新の制度を正確に学べる」といっても、反映されるのは各版の刊行時点までの基準改正です。刊行後に公表・適用された改正は次版までは反映されません。
- 「会計25点」は現行の試験要領に基づく配点(会計・経済・投資理論100点満点のうち会計部分)で、試験制度の改定により将来変更される可能性があります。
📖 あわせて学ぶ(無料講義・動画)
📚 参考文献・参考リンク
- 桜井久勝『財務会計講義』第27版、中央経済社
- Wikipedia「桜井久勝」