投資理論[実務編] ― 第2章

株式投資分析 ― 配当・利益・資本コストで株価をひも解く

株式の本源的価値を 4 つの視点で評価し、運用戦略につなげる。

皆さん、株式投資といえば「明日上がる銘柄を当てる」イメージがあるかもしれませんね。でもアナリストの世界では、株価は企業が将来生み出すキャッシュフローを割り引いた本源的価値と比較しながら評価されます。 本章では、株式の理論価格モデル(DDM / DCF / 残余利益モデル)、資本コストの推計(CAPM)、株式評価尺度(PER・PBR・配当利回り)、そして運用戦略(アクティブ vs パッシブ)を、理論編との橋渡しを意識して体系的に学んでいきます。 KKT 試験でも、配当割引モデルの計算・資本コストの推定・評価尺度の使い分けが定番の出題論点です。

🎯 この章でマスターしておきたいこと

📚 本章の流れ

  1. 株式投資と効率的市場仮説
  2. 配当割引モデル (DDM) ― 将来配当の割引現在価値
  3. ゴードン・モデルと多段階成長モデル
  4. 残余利益モデル (RIM) と DCF 法
  5. 資本コスト (CAPM) と株式評価尺度
  6. アクティブ運用とパッシブ運用
  7. 資本構成の理論 ― MM理論とトレードオフ理論
  8. リアル・オプション(実務編 第3章へ)
  9. 要点まとめ
  10. 演習

1. 株式投資と効率的市場仮説

1.1 株式と債券はここが違う

前章で学んだ債券と、本章で学ぶ株式の最大の違いは、キャッシュフローの性質です。

株式と債券のキャッシュフロー
図 2-1 (a) 債券は満期があり、クーポン+元本償還で終わる。(b) 株式は満期がなく、配当が成長しながら永久に続く。この「満期なし・成長する」という 2 点が、株式評価の難しさと面白さを生みます。
債券株式
満期あり(償還日)なし(無限期間)
キャッシュフロークーポン(固定額)+元本配当(金額・支払有無とも不確実)
成長原則なし企業成長とともに増える可能性
優先度高い(先取り)低い(残余請求権)
評価の難しさ低(将来 CF が契約で確定)高(配当と割引率の両方が不確実)

1.2 効率的市場仮説(EMH)

株式投資を語るとき、必ず登場する概念が効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis, EMH)です。ユージン・ファーマが 1970 年に体系化し、2013 年ノーベル経済学賞の対象にもなりました。

EMH の 3 つの型
現実の市場では、ウィーク型はほぼ成立、セミストロング型は条件付きで成立、ストロング型は成立しない、というのが 60 年以上の実証研究の結論です。インサイダー取引は実際に利益を生むから違法化されているわけですね。 試験対策としては、「ストロング型は成立しない。セミストロング型は概ね成立するがアノマリーと呼ばれる例外がある」を押さえておけば十分です。

1.3 代表的な市場アノマリー

アノマリー内容
小型株効果時価総額の小さい企業の株式は、CAPM で説明できる以上のリターンを示す傾向
バリュー効果PBR や PER が低い「割安株」の方が、「割高株(グロース)」より長期的に優位
モメンタム効果過去 3〜12 ヶ月間リターンが高かった銘柄は、その後も高リターンを継続しやすい
リバーサル効果3〜5 年単位での長期反転。勝者株が敗者になり、敗者株が勝者になる
カレンダー効果月初・週初・年末などに特定のパターン(1 月効果など)
アノマリーが発見されると、しばしば消えるという厄介な性質があります。研究者や運用者がそれを狙って売買するので、過去に観測された効果が未来も続くかは保証されません。試験では「アノマリーの持続性には慎重な姿勢が必要」という論点も問われます。

2. 配当割引モデル (DDM) ― 将来配当の割引現在価値

では、株式の理論価格はどう求めるのでしょうか。最も基本となるのが配当割引モデル(Dividend Discount Model, DDM)です。

2.1 DDM の基本式

配当割引モデル 株式の理論価格 $P_0$ は、将来のすべての配当を要求収益率 $r$ で割り引いた現在価値の総和: $$P_0 = \sum_{t=1}^{\infty} \frac{D_t}{(1+r)^t} = \frac{D_1}{1+r} + \frac{D_2}{(1+r)^2} + \frac{D_3}{(1+r)^3} + \cdots$$

※ $\sum$(シグマ記号)の使い方は数学の基礎を参照。

この式の解釈はとてもシンプル。「株式を永遠に保有したときに受け取る配当の現在価値=株式の理論価格」。株式は満期がないので、無限和になるのが特徴です。

2.2 「株価売却益はどこ?」という疑問

ここで「でも実際、株は配当目当てじゃなくて値上がり益狙いで買いません?」という声が聞こえてきそうですね。実は、値上がり益は DDM に織り込み済みなんです。

1 年後に売るつもりだとしても、1 年後の売却価格 $P_1$ は、そのときの投資家が「それ以降の配当を割り引いた合計」で判断する。だから $P_1$ 自身が将来配当の PV。
$P_0 = (D_1 + P_1)/(1+r)$ に $P_1 = (D_2 + P_2)/(1+r)$ を代入 → 代入を繰り返すと、売却価格が消え、将来配当だけが残るという巧妙な構造になっています。つまり「値上がり期待」も究極的には配当を織り込んだ結果なんですね。

2.3 無限和の困難

さて、DDM は美しい式ですが実務では困ったことに無限項を足さないといけません。これをどう扱うか。2 つのアプローチがあります:

  1. 一定成長を仮定する(次節のゴードン・モデル)
  2. 有限期間の配当 + ターミナル・バリュー(§3 の多段階モデル)

3. ゴードン・モデルと多段階成長モデル

3.1 ゴードン・モデル(定率成長モデル)

配当が「毎年一定の成長率 $g$ で永久に伸びる」と仮定すると、DDM の無限和がきれいな閉じた形になります。

ゴードン・モデル(試験で出題される) 配当が $D_t = D_1 (1+g)^{t-1}$ と成長するとき、要求収益率を $r$(ただし $r \gt g$)とすると: $$\boxed{\;P_0 = \frac{D_1}{r - g}\;}$$ (等比数列の無限和から導ける。詳細な導出は数学の基礎ページにあります)
条件 $r \gt g$ は必須です。もし永久成長率 $g$ が要求収益率 $r$ 以上なら、株式の理論価格は無限大に発散してしまいます。現実に企業が経済全体の成長率(マクロでは年 2〜3%)を永久に上回ることは不可能なので、通常は $g \leq 3\%$ 程度とします。
ゴードン・モデルのgとP
図 2-2 $D_1=50$ 円、$r=8\%$ を固定して $g$ を動かしたときの株価。$g$ が $r$ に近づくほど急激に発散。たとえば $g$ が 3% から 5% に上昇するだけで、株価は 1000 円から 1667 円へ +67% 跳ねる。

3.2 計算例 ― 配当割引モデル

設定:ある株式の次期配当予想 $D_1 = 50$ 円、配当成長率 $g = 3\%$ で永久に続くと予想。要求収益率 $r = 8\%$。

$$P_0 = \frac{50}{0.08 - 0.03} = \frac{50}{0.05} = \mathbf{1{,}000\ \text{円}}$$ この株式の理論価格は 1,000 円。もし市場価格が 900 円なら「割安」と判断し買いシグナル、1,100 円なら「割高」として売りシグナル、という使い方。

3.3 多段階成長モデル

成長企業の多くは「最初の数年は高成長、その後は安定成長」という 2 段階の姿になります。これを2 段階成長モデルで評価します。

2段階成長モデル
図 2-3 高成長期 ($g_1=15\%$、5 年間) の後、安定期 ($g_2=3\%$、永続) に移行する 2 段階モデル。$D_0=100$ 円から出発すると、5 年後には配当が約 201 円に、その後も 3% ずつ成長。
2 段階成長モデルの理論価格 高成長期 $N$ 年間($g_1$)+安定期($g_2$、永続): $$P_0 = \underbrace{\sum_{t=1}^{N} \frac{D_0 (1+g_1)^t}{(1+r)^t}}_{\text{高成長期配当の PV}} + \underbrace{\frac{\mathrm{TV}_N}{(1+r)^N}}_{\text{ターミナル・バリューの PV}}$$ ターミナル・バリュー(安定期に入った時点での理論株価): $$\mathrm{TV}_N = \frac{D_{N+1}}{r - g_2} = \frac{D_N (1+g_2)}{r - g_2}$$
設定:$D_0 = 100$ 円、高成長期 $g_1 = 15\%$(5 年)、安定期 $g_2 = 3\%$、要求収益率 $r = 10\%$。

ステップ 1:高成長期配当の PV
年 $t$$D_t$(円)$D_t / 1.10^t$(円)
1$100 \times 1.15 = 115.00$$104.55$
2$132.25$$109.30$
3$152.09$$114.27$
4$174.90$$119.46$
5$201.14$$124.89$
合計$572.46$
ステップ 2:ターミナル・バリュー $$D_6 = 201.14 \times 1.03 \approx 207.17$$ $$\mathrm{TV}_5 = \frac{207.17}{0.10 - 0.03} = \frac{207.17}{0.07} \approx 2{,}959.6$$ ステップ 3:TV の PV を加算 $$P_0 = 572.46 + \frac{2{,}959.6}{1.10^5} = 572.46 + \frac{2{,}959.6}{1.6105} \approx 572.46 + 1{,}837.69 \approx \mathbf{2{,}410\ \text{円}}$$
2 段階モデルの結果、株価の約 76%(1,838/2,410)がターミナル・バリューから来ている点に注目。成長企業の評価は、「安定期をどう見積もるか」が圧倒的に重要なんです。

4. 残余利益モデル (RIM) と DCF 法

4.1 DDM の弱点と代替モデル

DDM は美しい理論ですが、実務では弱点があります:

そこで、株主に帰属する「配当可能な利益の源泉」を割り引く別系統のモデルが使われます。代表は以下の 2 つ。

4.2 残余利益モデル (Residual Income Model, RIM)

残余利益モデルの基本式 $$P_0 = \mathrm{BV}_0 + \sum_{t=1}^{\infty} \frac{\mathrm{RI}_t}{(1+r)^t}$$ ここで:
残余利益モデルの本質的メッセージ:
ROEとPBR
図 2-4 要求収益率 $r=8\%$、成長なしの単純化ケース。ROE が $r$ を上回れば PBR $\gt$ 1、下回れば $\lt$ 1。実市場でも「ROE を上げないと株価は上がらない」とよく言われるのはこの関係が背景です。

4.3 計算例 ― 残余利益モデル

設定:今期末の自己資本簿価 $\mathrm{BV}_0 = 1{,}000$ 円、予想 ROE $= 12\%$ が永久に続く、要求収益率 $r = 8\%$、成長(再投資)はなしで毎年全額配当と仮定。

毎年の残余利益: $$\mathrm{RI} = (0.12 - 0.08) \times 1{,}000 = 40\ \text{円/年}$$ これが永続するので、永久年金の公式で: $$P_0 = 1{,}000 + \frac{40}{0.08} = 1{,}000 + 500 = \mathbf{1{,}500\ \text{円}}$$ PBR $= 1{,}500 / 1{,}000 = \mathbf{1.5}$。「ROE 12% という超過収益力が、簿価にプレミアム 50% を上乗せしている」と解釈できます。

4.4 DCF 法(フリー・キャッシュフロー割引)

もう一つの主流モデルがDCF 法。企業全体が生み出すフリー・キャッシュフロー (FCF) を加重平均資本コスト (WACC) で割り引いて企業価値を求め、そこから有利子負債を差し引いて株式価値を得る手法です。

DCF 法の枠組み $$\mathrm{EV} = \sum_{t=1}^{N} \frac{\mathrm{FCF}_t}{(1+\mathrm{WACC})^t} + \frac{\mathrm{TV}_N}{(1+\mathrm{WACC})^N}$$ $$\text{株主価値} = \mathrm{EV} - \text{有利子負債} + \text{現金}$$ $$\text{1 株あたり理論株価} = \frac{\text{株主価値}}{\text{発行株式数}}$$
DDM、RIM、DCF ― 3 つのモデルは厳密な仮定のもとでは同じ答えを出します(クリーン・サープラス関係など)。ただ実務では入力データの入手しやすさが違うので、目的に応じて使い分けるのが普通です: 試験で「どのモデルを使うべきか」と問われたら、入力データの特性で選ぶという答えを軸に考えましょう。

4.5 NOPAT・投下資本・FCF ― DCF を計算するための道具

DCF 法を実際に計算するには、いくつかの定義を正確に押さえる必要があります。ここが曖昧だと数値問題は解けません。

NOPAT(税引後営業利益) $$\mathrm{NOPAT} = \text{営業利益} \times (1 - t)$$ $t$ は実効税率。支払利息を引く前の利益に課税したもので、資本構成の影響を受けないのが要点です。
投下資本(Invested Capital) $$\text{投下資本} = \text{有利子負債} + \text{株主資本} \;=\; \text{運転資本} + \text{固定資産}$$ 調達側(右)から見ても運用側(左)から見ても同じ額になります。
フリー・キャッシュフロー(FCF) $$\mathrm{FCF} = \mathrm{NOPAT} + \text{減価償却費} - \text{設備投資額} - \text{運転資本の増加額}$$ 「減価償却費を足して設備投資を引く」のは、現金が出ていくのは投資したときだからです。 まとめてネット投資(=設備投資 − 減価償却費 + 運転資本増加)と呼び、 $$\mathrm{FCF} = \mathrm{NOPAT} - \text{ネット投資}$$ と書くこともあります。
WACC(加重平均資本コスト) $$\mathrm{WACC} = \frac{E}{D+E}\,r_E + \frac{D}{D+E}\,r_D\,(1-t)$$ $E$・$D$ は時価ベースの株主資本と有利子負債。負債コストに $(1-t)$ が掛かるのは 支払利息の節税効果を反映するためです(第 7 節のMM理論と同じ話)。
企業価値(事業価値)は、FCF をWACCで割り引いて求めます。 $$V = \sum_{t=1}^{n} \frac{\mathrm{FCF}_t}{(1+\mathrm{WACC})^t} + \frac{\text{継続価値}}{(1+\mathrm{WACC})^n}$$ 定常状態に入ったあとの継続価値はゴードン型で $\dfrac{\mathrm{FCF}_{n+1}}{\mathrm{WACC}-g}$。 株主価値を出すには、ここから有利子負債を差し引きます。

4.6 ROIC・EVA・MVA ― 価値を「創ったか」で測る

ROIC(投下資本利益率) $$\mathrm{ROIC} = \frac{\mathrm{NOPAT}}{\text{投下資本}}$$
EVA(経済的付加価値) $$\mathrm{EVA} = \mathrm{NOPAT} - \text{投下資本} \times \mathrm{WACC} = (\mathrm{ROIC} - \mathrm{WACC}) \times \text{投下資本}$$ 「稼いだ利益」から「資本を使ったコスト」を引いた残り。会計上は黒字でも EVA が負なら価値を壊している、というのがこの指標の主張です。
MVA(市場付加価値) $$\mathrm{MVA} = \text{企業価値} - \text{投下資本} = \sum_{t=1}^{\infty}\frac{\mathrm{EVA}_t}{(1+\mathrm{WACC})^t}$$ MVA は将来EVA の現在価値の合計に等しくなります。
ROIC と WACC の関係は、株式評価での ROE と $r$ の関係とまったく同じ構図です。 「利益が出ている=価値を創っている」ではありません。資本コストを超えて初めて価値が生まれる。この一点がEVA の思想です。

4.7 EBITDA と EV/EBITDA 倍率

$$\mathrm{EBITDA} = \text{営業利益} + \text{減価償却費}$$ $$\text{EV(企業価値)} = \text{株式時価総額} + \text{有利子負債} - \text{現金同等物}$$ $$\text{EV/EBITDA 倍率} = \frac{\text{EV}}{\mathrm{EBITDA}}$$
EBITDA は金利・税金・減価償却の影響を除いた利益なので、 でも比較しやすいのが利点です。PER が株主だけの取り分を見るのに対し、EV/EBITDA は債権者と株主を合わせた企業全体を見ています。「買収したら何年で元が取れるか」の目安としても使われます。
一方で設備投資の重さを無視するため、装置産業では実力を過大に見せる点に注意が必要です。

4.8 サステイナブル成長率

$$g = \mathrm{ROE} \times (1 - \text{配当性向}) = \mathrm{ROE} \times \text{内部留保率}$$

外部から資金調達せずに、内部留保だけで達成できる利益成長率です。これを超える成長を目指すなら、増資か借入れが必要になります。

増資で成長率を引き上げる場合、1 株当たりの価値がどうなるかを必ず確認してください。 発行済株式数が $N$ から $N'$ に増えると、既存株主の持分比率は $N/N'$ に薄まります。この目減りを希薄化といい、 $$\text{希薄化率} = 1 - \frac{N}{N'} = \frac{\text{新規発行株式数}}{\text{増資後の発行済株式数}}$$ で測ります。全体の利益がそれ以上に増えなければ、増資は既存株主にとってマイナスです。

4.9 フランチャイズ価値モデル

株価を「いまの収益力の価値」と「これから成長で生み出す価値」に分けて見るのがフランチャイズ価値モデルです。

株式価値の 2 分割 $$P_0 = \underbrace{\frac{E_1}{r}}_{\text{素価値}} + \underbrace{\text{フランチャイズ価値}}_{\text{成長がもたらす上乗せ}}$$ 素価値(tangible value)は、いまの利益 $E_1$ を全額配当し、成長しないと仮定したときの価値。 フランチャイズ価値は、内部留保して再投資することで生まれる追加価値です。
フランチャイズ価値が正になるのは、再投資の収益率が資本コストを上回るとき(ROE > $r$)だけです。 「成長すれば必ず株価が上がる」わけではない、というのがこのモデルの主張です。

PER の形で書くと、分解がはっきりします。

フランチャイズ価値モデル(PER 表現) $$\frac{P}{E} = \underbrace{\frac{1}{r}}_{\text{ベース PER}} + \underbrace{\mathrm{FF} \times G}_{\text{フランチャイズ PER}}$$
計算例:$R = \mathrm{ROE} = 15\%$、要求収益率 $r = 8\%$ のとき $$\mathrm{FF} = \frac{0.15 - 0.08}{0.15 \times 0.08} = \frac{0.07}{0.012} \approx \mathbf{5.83}$$ ベースPER は $1/0.08 = 12.5$ 倍。ここに $\mathrm{FF} \times G$ が上乗せされます。 $G = 0.5$ なら $\mathrm{PER} = 12.5 + 5.83 \times 0.5 \approx 15.4$ 倍。
フランチャイズ価値は「FF(1 単位の投資がどれだけ価値を生むか)」と「G(どれだけの規模で投資できるか)」の積です。 稼ぐ力があっても投資先がなければ価値は増えませんし($G$ が小さい)、投資機会が豊富でも収益率が資本コスト割れなら価値は減る($\mathrm{FF} < 0$)―― 両方が要る、ということですね。

FF の式は $R = r$ のときちょうど 0 になります。資本コストと同じ収益率でしか運用できない会社は、いくら成長してもPER が $1/r$ から動かない。ゴードン・モデルで「ROE = $r$ なら成長は株価に無関係」と学んだのと同じ結論です。 PER が高くなる理由を「収益力」と「成長機会」に切り分けて説明できるのがこのモデルの利点です。

5. 資本コスト (CAPM) と株式評価尺度

上のモデルはどれも「割引率 $r$(要求収益率=資本コスト)」を必要とします。これをどう決めるか? 答えは理論編・第 3 章のCAPM です。

5.1 CAPM による資本コストの推定

CAPM(再掲) $$r = r_f + \beta \cdot (\mathrm{MRP})$$
業種別CAPM
図 2-5 $r_f=1\%$、$\mathrm{MRP}=5\%$ を前提に、業種ごとの代表ベータから資本コストを算出。公益(β=0.6)は 4%、ハイテク(β=1.6)は 9% と、業種性格で大きく違う。

5.2 計算例 ― 業種別資本コスト

$r_f = 1\%$、$\mathrm{MRP} = 5\%$ の市場環境下で: 同じキャッシュフロー予想でも、ベータが高い企業ほど厳しい割引率で評価されるため、理論株価は低くなります。

5.3 ファクター・モデル ― ベータだけでは足りない

理論編・第 3 章で、CAPM では説明しきれないアノマリー(小型株効果・バリュー株効果)を見ました。「ベータ以外のリスク要因も価格に効いているのではないか」という発想を形にしたのがマルチファクター・モデルです。

Fama-French の 3 ファクター・モデル $$R_i - r_f = \alpha_i + \beta_i\,(R_M - r_f) + s_i\,\mathrm{SMB} + h_i\,\mathrm{HML} + \varepsilon_i$$
第 3 ファクターは 簿価時価比率(バリュー要因)であって、配当利回りではありません。「市場・規模・配当利回りの 3 ファクター」といった記述は誤りです。
Fama と French は、小型株効果とバリュー株効果を「CAPM の欠陥」ではなく「ベータでは捉えきれないリスク要因への報酬」と解釈しました。つまりアノマリーをリスク側に取り込んだわけですね。 のちにモメンタムを加えた 4 ファクター(Carhart)、収益性と投資に関する要因を加えた 5 ファクター・モデルへと拡張されています。

なお、ファクターでリターンを説明するという発想そのものは、APT(裁定価格理論)にさかのぼります。APT は「無裁定条件のもとで、リターンは複数の共通ファクターの線形結合で表せる」と述べるもので、ファクターの中身を理論が指定しない点がCAPMとの違いです。

5.4 株式評価尺度(PER・PBR・配当利回り)

DDM や RIM を厳密に計算する代わりに、市場価格と会計指標の比率でざっくり相対評価する指標群。実務では圧倒的によく使われます。

指標定義分解式(ゴードン・モデル由来)
PER
(株価収益率)
$\dfrac{\text{株価}}{\text{1 株当たり利益 (EPS)}}$$\dfrac{1 - \text{内部留保比率}}{r - g}$
PBR
(株価純資産倍率)
$\dfrac{\text{株価}}{\text{1 株当たり純資産 (BPS)}}$$1 + \dfrac{\mathrm{ROE} - r}{r - g}$
配当利回り$\dfrac{\text{1 株当たり配当}}{\text{株価}}$$r - g$
PER・PBR の分母分子の直感: 「割安」なのか「ファンダメンタルが悪い」のかは見分けが必要(バリュートラップへの注意)。

6. アクティブ運用とパッシブ運用

6.1 パッシブ運用(インデックス運用)

パッシブ運用は、TOPIX や S&P 500 などの株価指数をそのまま複製することを目指す運用です。理論編・第 3 章で学んだ CAPM の教え「マーケット・ポートフォリオが効率的」を素直に実践した戦略ですね。

パッシブ運用の特徴

ここで一段細かい話をします。「指数を複製する」といっても、指数の全銘柄をそのまま買うとは限りません。複製のやり方には次の 3 つがあり、名前と中身の対応が問われます。

手法やり方長所短所
完全法
(完全複製法)
指数の全構成銘柄を、指数と同じ構成比で保有する 原理的には指数とのずれが最も小さい 銘柄数が多いと売買コスト・管理コストが重い。流動性の低い銘柄まで買う必要があり、コストがかさむとかえって誤差が広がることもある
層化抽出法
(層別抽出法)
指数を業種・規模などの層(セル)に分け、各層から代表銘柄を選んで層の構成比を再現する 銘柄数を絞れてコストが軽い。考え方が直感的 層の切り方に恣意性が残り、完全法よりは誤差が出る
最適化法 リスクモデルを使い、推定トラッキング・エラーを最小化するように、銘柄数などの制約のもとで数理計画で銘柄と比率を決める 少ない銘柄数で誤差を抑えられる 推定したリスクモデルに依存する。モデルの前提が現実と食い違うと誤差が広がりうる
3 つの関係は「どこまで手を抜くか、その代わり何を失うか」で整理できます。 全部買う完全法がいちばん忠実ですが、構成銘柄数の多い指数では現実的でないことがある。そこで銘柄を絞るわけですが、絞り方が業種や規模といった区分に沿うなら層化抽出法、数理最適化で決めるならその名のとおり最適化法です(層化抽出法でも数量的な手続きは使いますし、最適化法にも制約の置き方という人の判断が入るので、対比はあくまで力点の違いです)。

なお、実際の運用では指数と完全に一致させることはできません。売買コスト・配当の再投資タイミングのずれ・指数入替時の売買などが原因です。あわせて、投資家が受け取るリターンは信託報酬などのコストのぶん指数を下回りやすくなりますが、こちらは平均的な差(リターンの水準の話)であり、トラッキング・エラー(ずれのばらつき)とは別の概念である点に注意してください。コスト控除前で見れば、指数を上回る年があっても不思議ではありません。

6.2 アクティブ運用

アクティブ運用は、ベンチマーク(指数)を上回るリターンを狙う運用です。セミストロング型 EMH を完全には信じない立場に立ちます。

Information Ratio(IR) アクティブ運用の巧拙を測る中心的指標: $$\mathrm{IR} = \frac{\alpha}{\mathrm{TE}} = \frac{\text{年率ベンチマーク超過リターン}}{\text{年率トラッキング・エラー}}$$

アクティブ運用には、銘柄を選ぶ道筋の違いによる 2 つのアプローチがあります。

アプローチ考える順序中身
トップダウン・アプローチ マクロ → 個別銘柄 景気・金利・為替などのマクロ経済環境の見通しをまず立て、そこからリターンに影響する要素(業種・投資スタイルなど)の予想を行い、ポートフォリオの属性を意図的に傾ける
ボトムアップ・アプローチ 個別銘柄 → 全体 個々の企業の業績・財務・競争力を調べて割安な銘柄を積み上げる。結果としての業種構成は銘柄選択の副産物になる
「上から降りてくるのがトップダウン、下から積み上げるのがボトムアップ」。名前のとおりです。 実務では両方を組み合わせることが多く、たとえば業種配分はトップダウンで決め、その中の銘柄選択はボトムアップで行う、という形になります。
アクティブ運用のα分布
図 2-6 パッシブはベンチマーク近辺に集中(TE 小)。アクティブは分散が大きく、優秀と劣後に分かれる。手数料控除後にほぼ半数のアクティブはベンチマークに負けるというのが実証研究の一貫した結果。

6.3 どちらを選ぶべきか ― 実務の判断

多くの実証研究が示すのは「手数料控除後で見ると、パッシブ運用の長期勝率が高い」という結論です。S&P 500 で見ると、10 年以上の期間でベンチマークを上回れたアクティブ運用は 10〜20% に過ぎないというデータもあります。
一方で、市場効率性が低い新興国株や中小型株、あるいは特殊な戦略(統計的裁定、オルタナティブ)ではアクティブの余地が残ります。実務ではコア(パッシブ)+サテライト(一部アクティブ)の混合戦略が一般的です。KKT 試験でも「パッシブとアクティブの選択基準」は論述で問われやすい論点です。

6.4 執行コストとインプリメンテーション・ショートフォール

運用の巧拙は銘柄選択だけで決まりません。売買を実際に執行する過程で失われるコストも成績を左右します。

インプリメンテーション・ショートフォール(IS、実装欠損): 投資判断をした時点の価格で全量を即座に約定できたと仮定した理想のポートフォリオ(ペーパー・ポートフォリオ)の成績と、 実際のポートフォリオの成績との差。執行に伴うコストをまとめて捉える考え方です。
コストの種類内容見えるか
手数料・税売買委託手数料など明示的(見える)
スプレッド・コスト買値と売値の差の半分暗黙的
マーケット・インパクト・コスト自分の注文が価格を動かしてしまう分暗黙的
タイミング・コスト執行を待つあいだに価格が動いてしまう分暗黙的
機会コスト約定できずに買い逃した/売り逃した分暗黙的
ここにはジレンマがあります。急いで大量に発注すればマーケット・インパクトが大きくなり、ゆっくり分割して出せばタイミング・コストと機会コストが膨らむ。どちらかを減らすと、もう一方が増える関係です。

だから執行アルゴリズムの設計は「インパクトとタイミングのどこで折り合いをつけるか」という最適化問題になります。アクティブ運用で $\alpha$ を 1% 稼いでも、執行コストで 1% 失えば差し引きゼロ。IS は「絵に描いた餅」と実際の成績の差を測る物差しだと考えてください。

6.5 代表的な投資スタイル

スタイル狙い典型的な指標
バリュー割安株の底値買い低 PER、低 PBR、高配当利回り
グロース高成長企業のプレミアム高 EPS 成長率、高 ROE
モメンタム上昇トレンドに乗る過去 6〜12 ヶ月の高リターン
クオリティ財務健全・安定成長高 ROE、低負債比率、収益安定
低ボラティリティ低リスクでも同等リターン低標準偏差、低 β

7. 資本構成の理論 ― MM理論とトレードオフ理論

ここまでは「株式をどう評価するか」でした。最後に視点を発行体に移して、企業が資金を負債で集めるか株式で集めるかによって、企業価値は変わるのかを考えます。

7.1 MM理論 ― 「資本構成は企業価値に関係ない」

モジリアーニとミラーが 1958 年に示した命題です。まず完全資本市場という強い前提を置きます。

完全資本市場の前提
MM第1命題(税金なし) $$V_L = V_U$$ 負債を使う企業 $L$ の価値と、使わない企業 $U$ の価値は等しい。企業価値は 資産が生む利益だけで決まり、それを誰にどう分配するか(資本構成)には依存しない。
MM第2命題(法人税なし) $$r_E = r_U + \frac{D}{E}\,(r_U - r_D)$$ $r_U$ は無負債企業の資本コスト(=事業リスクに対する要求リターン)、$r_D$ は負債コスト、$D/E$ は時価ベースの負債比率。 負債比率を上げると、株主が要求するリターン $r_E$ は上がる。 その結果、加重平均資本コスト WACC は $r_U$ のまま動かない。

※ $r_D$ が一定であるうちは $r_E$ は $D/E$ の一次式(直線)になります。負債が増えて負債自体もリスクを帯びると $r_D$ が上がりはじめ、そのぶん $r_E$ の上昇は緩やかになります。それでも WACC が $r_U$ で一定であることは変わりません。

第1命題の直感は「ピザの切り方を変えても、ピザの大きさは変わらない」です。負債と株式は、同じ事業が生むキャッシュフローの分け方に過ぎない、と。

「でも、負債は金利が安いのだから、負債を増やせば資本コストが下がって企業価値が上がるのでは?」と思いますよね。第2命題がその反論に答えています。負債を増やすと、残された株主が背負うリスクが増えるため株主の要求リターンがちょうど相殺するだけ上がる。だから加重平均は変わらない、というわけです。

証明の要は自家製レバレッジという考え方です。企業が借金してくれなくても、投資家は自分で借金して株を買えば同じ状態を作れる。だから投資家は「借金してくれる企業」に割増しを払いません。前提に「個人も同じ金利で借りられる」が入っているのは、このためです。

7.2 法人税を入れると ― 節税効果

前提のうち「法人税がない」を外します。支払利息は損金に算入できるので、負債を使う企業は税金が減ります。これが節税効果(タックス・シールド)です。

MM第1命題(法人税あり) $$V_L = V_U + T_c D$$ $T_c$ は法人税率、$D$ は負債額。負債が多いほど企業価値が高くなる。

※ この $T_c D$ という簡潔な形は、負債が永久債で額が一定、利息を確実に払い切れ、節税分を負債コスト $r_D$ で割り引くという前提のもとで出てきます($T_c r_D D / r_D = T_c D$)。負債を返済していく場合や、赤字で節税効果を使い切れない場合には、節税効果の現在価値はこれより小さくなります。

この式を額面どおり受け取ると、「負債 100%(株式ゼロ)が最適」という現実にはあり得ない結論になります。 実際にそんな企業はありません。つまりまだモデルに入っていない要素がある、ということです。

7.3 トレードオフ理論 ― 節税効果と財務破綻コストの綱引き

足りなかったのは倒産・財務的困難のコストでした。負債を増やせば増やすほど、返済に行き詰まる確率が上がります。

負債を増やすと内容
+ 節税効果支払利息の損金算入で法人税が減る。負債に比例して増える
− 財務破綻コスト直接コスト:倒産手続の弁護士費用・裁判費用など
間接コスト:取引先が離れる、優秀な人材が流出する、有利な投資機会を見送らざるを得なくなる。負債が増えると加速度的に増える
トレードオフ理論:企業価値は $$V_L = V_U + (\text{節税効果の現在価値}) - (\text{財務破綻コストの現在価値})$$ で表され、この差が最大になる負債比率が最適資本構成になる、と考える。 節税効果は負債とともに増える一方、財務破綻コストは負債が増えるほど急に効いてくるため、両者が釣り合う内点に最適点が生じるというのがこの理論の描く姿です。 (内点に最適点が現れるかどうかは両者の形状しだいで、たとえば破綻コストがきわめて小さい企業では最適負債比率が非常に高くなります。「必ず中間にある」と暗記するのではなく、2 つの力の綱引きで決まるという枠組みのほうを覚えてください。)
「なぜ業種によって借入れの多さが違うのか」も、この枠組みで説明できます。 安定した現金収入があり、土地や設備といった換金しやすい資産を持つ企業(電力・不動産など)は、倒産確率が低く倒産時の回収も見込めるので、財務破綻コストが小さく、負債を厚くできます。 逆に、価値の源泉が人材やブランドといった目に見えない資産にある企業(IT・製薬など)は、経営が傾いた瞬間に価値が蒸発するため財務破綻コストが大きく、負債を抑えて手元資金を厚く持つ傾向があります。

なお、資本構成の説明にはもう一つペッキング・オーダー理論があります。情報の非対称性のもとでは、企業は資金調達手段を内部資金(内部留保や手元資金)→ 負債 → 新株発行の順に選ぶ、という考え方です(増資は「株価が割高だから出すのだろう」と受け取られ、株価が下がりやすいため)。トレードオフ理論が「最適点がある」と言うのに対し、こちらは「順序がある」と言っており、着眼点が違います。

8. リアル・オプション(実務編 第3章へ移動)

リアル・オプションは、事業投資の意思決定にオプションの発想を持ち込んだ考え方です。 企業価値評価とも関わりますが、オプションの応用として扱うほうが理解しやすいため、 実務編 第3章「6. リアル・オプション」で解説しています。 過去問でもデリバティブ投資分析の一部として出題されています。

💡 第 2 章 要点まとめ

✍️ 演習(クリックで解答表示)

問 1 ある株式の次期予想配当 $D_1 = 30$ 円、配当成長率 $g = 2\%$、要求収益率 $r = 7\%$ のとき、ゴードン・モデルによる理論株価を求めてください。

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$P_0 = \dfrac{D_1}{r - g} = \dfrac{30}{0.07 - 0.02} = \dfrac{30}{0.05} = \mathbf{600\ \text{円}}$

問 2 問 1 の銘柄について、$r$ は 7% のまま、$g$ が 2% から 3% に上昇したとします。理論株価はいくらになり、何% 上昇しますか?

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$P_0' = \dfrac{30}{0.07 - 0.03} = \dfrac{30}{0.04} = \mathbf{750\ \text{円}}$

上昇率:$(750 - 600)/600 = \mathbf{+25\%}$

成長率 1%pt の上昇で株価 +25%。ゴードン・モデルは $r-g$ という分母に敏感で、小さな変化が大きな株価変動を生む。

問 3 ある企業の株式ベータ $\beta = 1.2$、リスクフリー・レート $r_f = 2\%$、マーケット・リスクプレミアム $\mathrm{MRP} = 6\%$。 (a) CAPM による資本コストはいくらか?
(b) この企業の次期予想配当 $D_1 = 100$ 円、配当成長率 $g = 4\%$ のとき、理論株価を求めよ。

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(a) $r = r_f + \beta \times \mathrm{MRP} = 2 + 1.2 \times 6 = \mathbf{9.2\%}$

(b) $P_0 = \dfrac{D_1}{r - g} = \dfrac{100}{0.092 - 0.04} = \dfrac{100}{0.052} \approx \mathbf{1{,}923\ \text{円}}$

問 4 簿価 $\mathrm{BV}_0 = 500$ 円、予想 ROE = 15%、要求収益率 $r = 10\%$、成長はなく毎年全額配当とする。残余利益モデルで理論株価と PBR を求めてください。

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残余利益:$\mathrm{RI} = (0.15 - 0.10) \times 500 = 25$ 円/年

$P_0 = 500 + \dfrac{25}{0.10} = 500 + 250 = \mathbf{750\ \text{円}}$

$\mathrm{PBR} = 750 / 500 = \mathbf{1.5}$

「ROE が要求収益率を 5%pt 上回る超過収益力が、簿価に対して 50% のプレミアムとして評価されている」と解釈。

問 5 2 段階成長モデルで評価する。$D_0 = 20$ 円、高成長期 $g_1 = 10\%$(3 年間)、安定期 $g_2 = 2\%$、要求収益率 $r = 8\%$。理論株価を求めてください。

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ステップ 1:高成長期の配当

$D_1 = 20 \times 1.10 = 22$、$D_2 = 24.2$、$D_3 = 26.62$

各年の PV:
$22/1.08 = 20.37$
$24.2/1.08^2 = 24.2/1.1664 = 20.75$
$26.62/1.08^3 = 26.62/1.2597 = 21.13$
合計 = $\mathbf{62.25}$

ステップ 2:ターミナル・バリュー

$D_4 = 26.62 \times 1.02 = 27.15$

$\mathrm{TV}_3 = \dfrac{27.15}{0.08 - 0.02} = \dfrac{27.15}{0.06} = 452.55$

$\mathrm{PV}(\mathrm{TV}) = 452.55 / 1.2597 = 359.25$

ステップ 3:合算

$P_0 = 62.25 + 359.25 = \mathbf{421.50\ \text{円}}$

問 6 あるアクティブ運用ファンドは過去 5 年の年率超過リターン $\alpha = 2.4\%$、トラッキング・エラー $\mathrm{TE} = 4\%$ であった。 (a) Information Ratio は?
(b) このファンドの運用は「優秀」と評価できるか?

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(a) $\mathrm{IR} = \alpha / \mathrm{TE} = 2.4 / 4.0 = \mathbf{0.60}$

(b) IR 0.60 は「優秀」の基準(0.5 以上)を満たす。ただし 5 年では統計的有意性が不十分との指摘もあり、通常は10 年以上のトラックレコードで判断。また、手数料控除後の $\alpha$ で評価することが重要。

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