ゼロからわかる簿記 ― 第13章

補助簿・伝票会計+総仕上げ演習

主要簿と補助簿、商品有高帳、証ひょうからの仕訳、伝票会計と仕訳日計表、訂正仕訳をおさえ、全13章の総仕上げ演習へ。学び終えたら、いよいよ会計の教科書へ進みましょう。

ここまで、5要素の分類から始まり、仕訳・転記・試算表、商品売買、現金・預金、手形、さまざまな債権債務、固定資産、貸倒れ、株式会社の資本と税金、そして決算整理・精算表・財務諸表まで、簿記の一巡をまるごと歩いてきました。長い道のり、本当におつかれさまでした。 最終章となる第13章では、これまで「仕訳帳」と「総勘定元帳」だけで語ってきた記録のしくみに、実務でかならず登場する「補助簿」と「伝票」という2つの仲間を加えます。あわせて、領収書や請求書といった「証ひょう」から仕訳を起こす作業、そして書きまちがえたときの「訂正仕訳」もマスターしましょう。 ここが埋まれば、日商簿記3級の学習範囲をひととおり歩き切ったことになります。ここまで学んだあなたなら、きっと自分の成長を実感できるはずです。最後まで一緒に走り抜けましょう。

🎯 この章でマスターしておきたいこと

📚 本章の流れ

  1. 主要簿と補助簿 ―― 帳簿の全体マップ
  2. どの取引で、どの補助簿に記入する?
  3. 補助簿の記入例 ―― 現金出納帳・仕入帳・固定資産台帳
  4. 商品有高帳 ―― 先入先出法と移動平均法
  5. 証ひょうから仕訳を起こす
  6. 伝票会計 ―― 3伝票制と仕訳日計表
  7. 訂正仕訳 ―― まちがえた仕訳を直す
  8. 要点まとめ

1. 主要簿と補助簿 ―― 帳簿の全体マップ

これまで取引を記録する帳簿として、仕訳帳(しわけちょう)と総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)の2つを学んできました。この2つは、すべての取引をもれなく記録する簿記の土台であり、まとめて主要簿(しゅようぼ)と呼ばれます。「主要」というだけあって、どんな会社でもかならず備える帳簿です。

ところが、主要簿だけでは少し不便なことがあります。たとえば「今、A社に対する売掛金はいくら残っているだろう?」「この商品の在庫は何個あるだろう?」といった細かい内訳は、総勘定元帳の1つの勘定を見ただけではパッと分かりません。そこで、特定のテーマについてくわしい明細を記録する補助的な帳簿を用意します。これが補助簿(ほじょぼ)です。

主要簿と補助簿の全体マップ。帳簿は主要簿と補助簿に分かれ、補助簿はさらに補助記入帳と補助元帳に分かれる
図 13-1 帳簿の全体マップ。土台となる主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)に、明細を補う補助簿が付き添います。補助簿はさらに2種類に分かれます。

1.1 補助簿は「補助記入帳」と「補助元帳」の2種類

補助簿は、その役割によって2つのグループに分けられます。

補助簿の一覧表。補助記入帳と補助元帳に分類し、それぞれの補助簿に記入する内容を示す
図 13-2 補助簿の一覧。名前が長くて多く見えますが、「取引の明細を順に書く(記入帳)」か「勘定の内訳を相手・品目別に書く(元帳)」かで整理すると、すっきり覚えられます。
補助簿の名前を丸暗記しようとすると、数が多くてくじけそうになりますね。でも、じつは名前がヒントになっています。「〇〇出納帳」は現金や預金の出し入れ(出納)を順に書く帳簿、「〇〇記入帳」は手形などの発生と決済を順に書く帳簿、「〇〇元帳」「〇〇台帳」は相手や品目ごとの内訳を書く帳簿 ―― この語尾のパターンをつかめば、初めて見る補助簿でも役割が推測できます。名前の意味を味方につけましょう。

2. どの取引で、どの補助簿に記入する?

補助簿でつまずきやすいのは、「1つの取引が、いくつもの補助簿に同時に記入される」という点です。たとえば「商品を掛けで仕入れた」という取引ひとつをとっても、次の3つの補助簿に同時に記入されます。

1つの取引には、いくつもの「側面」がありましたね(第1章の二面性を思い出してください)。補助簿は、そのそれぞれの側面ごとに用意された明細ノートだと考えると腑に落ちます。取引を見て「どんな要素が動いたか」を洗い出せば、記入すべき補助簿が見えてきます。

どの取引でどの補助簿に記入するかの一覧表
図 13-3 取引と補助簿の対応の例。1つの取引が複数の補助簿に記入されることに注目してください。

Q. 次の取引は、それぞれどの補助簿に記入されるでしょうか。当てはまるものをすべて挙げてください。
(a) 商品30,000円を掛けで売り上げた
(b) 買掛金を小切手を振り出して支払った

A.

「どの勘定が動いたか」をまず洗い出し、それぞれに対応する補助簿を選ぶ ―― この手順で考えれば確実です。

3. 補助簿の記入例 ―― 現金出納帳・仕入帳・固定資産台帳

「どの補助簿に書くか」が分かったら、次は「実際にどう書くか」です。補助簿はそれぞれ様式(フォーマット)が決まっていて、慣れてしまえばむずかしいものではありません。ここでは代表的な3つ ―― 現金出納帳・仕入帳・固定資産台帳 ―― の記入例をじっくり見ていきましょう。どれも日商簿記3級の出題範囲に含まれる帳簿です。

3.1 現金出納帳 ―― 現金の出入りを日付順に

現金出納帳は、現金の入金・出金を起きた順に記録し、そのつど残高を計算していく帳簿です。欄は日付・摘要(てきよう)・収入・支出・残高の5つ。「摘要」とは、その取引の内容をひとことで書く欄のことです。家計簿やおこづかい帳とほとんど同じ形なので、いちばん親しみやすい補助簿かもしれませんね。

現金出納帳の記入例。日付・摘要・収入・支出・残高の各欄に6月の現金取引を記入し、月末に次月繰越で締め切っている
図 13-4 現金出納帳の記入例。収入欄に入ってきた現金、支出欄に出ていった現金を書き、1行ごとに残高を更新します。月末は残高57,000円を「次月繰越」として支出欄に書き、収入・支出の合計を125,000円でそろえて締め切ります。

読み方のポイントは3つです。

なお、当座預金の出入りを記録する当座預金出納帳も、欄の名前が「預入・引出」に変わるだけで、構造はまったく同じです。ひとつ書けるようになれば、ほかの出納帳も自然と書けるようになりますよ。

3.2 仕入帳 ―― 仕入の中身をくわしく

仕入帳は、仕入取引の明細を記録する帳簿です。総勘定元帳の仕入勘定には「仕入 30,000」としか残りませんが、仕入帳を見れば「いつ・どこから・何を・何個・いくらで」買ったのかが分かります。欄は日付・摘要・内訳・金額の4つです。

仕入帳の記入例。摘要欄に仕入先と支払条件、品名・数量・単価を書き、内訳欄と金額欄を使い分け、月末に総仕入高・仕入戻し高・純仕入高を計算している
図 13-5 仕入帳の記入例。摘要欄の1行目に仕入先と支払条件(掛け・現金など)、2行目以降に品名・数量・単価を書きます。返品の行は実務では赤で記入する決まりです(図では赤い文字で示しています)。

書き方のコツは、内訳欄と金額欄の使い分けです。品目が1つだけなら、金額欄にそのまま書きます。ところが6月18日のように品物の代金と引取運賃と中身が複数あるときは、それぞれを内訳欄(20,000と1,000)に書き、その合計21,000円を金額欄に書きます。引取運賃のような仕入諸掛が仕入原価に含まれることは第4章で学びましたね。仕入帳でも、きちんと仕入の金額に取り込まれています。

そして月末には、3つの数字を計算して締め切ります。

仕入帳の締切 総仕入高:その月に仕入れた金額の合計(返品を差し引く前)
仕入戻し高:返品した金額の合計
$$\text{純仕入高} \;=\; \text{総仕入高} \;-\; \text{仕入戻し高}$$ この純仕入高が、その月の「正味の仕入」です。

Q. 上の仕入帳から、6月の純仕入高を求めてください。また、6月5日の返品について仕訳を示してください。

A. 総仕入高は、6/3の30,000円と6/18の21,000円を足して 51,000円。返品(仕入戻し高)は6/5の3,000円です。
純仕入高 = 51,000 − 3,000 = 48,000円。
6月5日の返品は、掛けで仕入れた商品を返したので、仕入と買掛金の両方を取り消します。
(借)買掛金 3,000 /(貸)仕入 3,000
借方3,000=貸方3,000で一致しますね。仕入帳の「仕入戻し高」の行と、この仕訳とが対応している、と読めるとバッチリです。

売上の明細を記録する売上帳も、まったく同じ構造です。月末に総売上高 − 売上戻り高 = 純売上高を計算して締め切ります。「仕入」を「売上」に読み替えるだけ、と考えてください。

3.3 固定資産台帳 ―― 固定資産の履歴書

最後は固定資産台帳(こていしさんだいちょう)です。第8章では、備品や車両などの固定資産を買い、毎期定額法で減価償却し、間接法で減価償却累計額を積み上げていく処理を学びました。ところが総勘定元帳の「備品」勘定を見ても、そこにあるのは取得原価の合計だけ。「どの備品を、いつ、いくらで買って、いまいくらまで償却が進んだのか」は分かりません。

そこで、固定資産1つひとつの履歴書として用意するのが固定資産台帳です。資産ごとに1行を割り当て、次のような項目を記録します。

固定資産台帳の記入例。取得年月日・名称・取得原価・耐用年数・期首減価償却累計額・当期減価償却費・期末帳簿価額を資産ごとに記入し、合計行を設けている
図 13-6 固定資産台帳の記入例(定額法・残存価額ゼロ・間接法、決算は年1回3月31日)。資産ごとに1行、いちばん下に合計行を置きます。期末帳簿価額は取得原価 − 期首減価償却累計額 − 当期減価償却費で求めます。
固定資産台帳の計算 $$\text{期末帳簿価額} \;=\; \text{取得原価} \;-\; \text{期首減価償却累計額} \;-\; \text{当期減価償却費}$$ 期首減価償却累計額は「前期までに償却した合計額」、当期減価償却費は「今期分の1年(または月割)の償却額」です。

図の1行目、車両で確かめてみましょう。取得原価1,600,000円・耐用年数8年・残存価額ゼロなので、1年分の減価償却費は 1,600,000 ÷ 8年 = 200,000円。X1年4月1日に取得し、当期はX4年4月1日に始まりますから、前期末(X4年3月31日)までに3年分が済んでいます。期首減価償却累計額 = 200,000 × 3年 = 600,000円。当期分の200,000円を足すと期末の累計額は800,000円になり、期末帳簿価額は 1,600,000 − 800,000 = 800,000円 ―― たしかに台帳の数字と合っていますね。

Q. 図13-6の備品B(X4年10月1日取得、取得原価720,000円、耐用年数6年、残存価額ゼロ、定額法、決算は年1回3月31日)について、当期(X4年4月1日〜X5年3月31日)の当期減価償却費と期末帳簿価額を計算してください。

A. まず1年分の減価償却費は 720,000 ÷ 6年 = 120,000円。
ただし備品Bを使い始めたのは10月1日ですから、当期に使ったのは10月から翌年3月までの6か月だけです。第8章で学んだ月割計算の出番ですね。
当期減価償却費 = 120,000 × 6か月 ÷ 12か月 = 60,000円。
当期に取得したので期首減価償却累計額はゼロ(台帳では「―」)です。したがって
期末帳簿価額 = 720,000 − 0 − 60,000 = 660,000円。
台帳の「―」を見たら「当期に買ったばかりの資産だ」と読み取れる、というのも大事なポイントです。

固定資産台帳のうれしいところは、合計行がそのまま決算の数字になることです。図13-6の「当期減価償却費」の合計380,000円は、決算整理で切る仕訳 ――(借)減価償却費 380,000 /(貸)減価償却累計額 380,000 ―― の金額そのもの。「期末帳簿価額」の合計1,700,000円は、貸借対照表に載る固定資産の正味の金額です。補助簿はただのメモ帳ではなく、主要簿や財務諸表とぴったりつながっている ―― そう実感できると、帳簿の世界がぐっと立体的に見えてきますよ。

4. 商品有高帳 ―― 先入先出法と移動平均法

補助簿の中でも、計算をともなうため少し練習が必要なのが商品有高帳です。これは商品の品目ごとに、受入(仕入などで増えた分)・払出(売上などで減った分)・残高(在庫)を、すべて原価(仕入れた値段)で記録する帳簿です。売価ではなく原価で書くのがポイントですよ。

ここで1つ問題が生じます。同じ商品でも、仕入れる時期によって単価が違うことがよくあります。すると「売れた商品は、いくらで仕入れたものだったのか?」を決めるルールが必要になります。日商簿記3級では、次の2つの方法を学びます。

払出単価を決める2つの方法 先入先出法(さきいれさきだしほう):先に仕入れた古いものから順に払い出したと考える。
移動平均法(いどうへいきんほう):仕入れるたびに平均単価を計算し直し、その平均単価で払い出す。

4.1 共通の設例

次の同じ取引を、両方の方法で記入してみましょう。ある商品の6月の動きです。

4.2 先入先出法(さきいれさきだしほう)

先入先出法では、古い在庫から順に払い出したと考えます。英語の First-In, First-Out から FIFO(ファイフォ)とも呼ばれます。スーパーの陳列棚で、賞味期限の古い牛乳を手前に置いて先に売る ―― あのイメージそのものです。

商品有高帳(先入先出法)の記入例。受入・払出・残高を原価で記録し、残高は単価ごとに分けて表示する
図 13-7 商品有高帳(先入先出法)。単価の異なる在庫は、残高欄で単価ごとに分けて書くのがコツです。6/15の払出は「古い@100の10個」+「@130の5個」で計算しています。

Q. 上の設例を先入先出法で記入したとき、6月15日の売上15個の払出原価はいくらになりますか。また、6月末の在庫金額(次月繰越)はいくらですか。

A. 6月15日時点の在庫は「@100が10個」と「@130が20個」です。先入先出法では古い方から払い出すので、15個の内訳は「@100×10個=1,000円」+「@130×5個=650円」。
払出原価 = 1,000 + 650 = 1,650円。
その後6/22に@150で15個仕入れ、6/27の売上20個は「@130×15個=1,950円」+「@150×5個=750円」で払い出します。最後に残るのは@150が10個。
6月末の在庫金額 = 150 × 10 = 1,500円 です。

4.3 移動平均法(いどうへいきんほう)

移動平均法では、仕入れるたびに、その時点の在庫全体の平均単価を計算し直します。そして、次に売れたときはその平均単価で払い出します。平均単価は、次の式で求めます。

移動平均単価 $$\text{平均単価} \;=\; \frac{\text{直前の残高金額} \;+\; \text{今回の仕入金額}}{\text{直前の残高数量} \;+\; \text{今回の仕入数量}}$$ 仕入のたびに、この割り算で単価を更新していきます。
商品有高帳(移動平均法)の記入例。仕入のたびに平均単価を計算し直して残高欄に記録する
図 13-8 商品有高帳(移動平均法)。6/8の仕入後は (1,000+2,600)÷(10+20)=@120、6/22の仕入後は (1,800+2,250)÷(15+15)=@135 と、単価が1本に均されていきます。

Q. 同じ設例を移動平均法で記入したとき、6月8日の仕入直後の平均単価はいくらですか。また、6月末の在庫金額はいくらになりますか。

A. 6/8の仕入直後、在庫は「前月繰越10個(1,000円)」+「仕入20個(2,600円)」です。
平均単価 = (1,000 + 2,600) ÷ (10 + 20) = 3,600 ÷ 30 = @120円。
その後、6/15に@120で15個払い出し(残15個・1,800円)、6/22に@150で15個仕入れると、平均単価は (1,800 + 2,250) ÷ (15 + 15) = 4,050 ÷ 30 = @135円。6/27に@135で20個払い出すと、残りは10個。
6月末の在庫金額 = 135 × 10 = 1,350円 です。

同じ設例なのに、期末の在庫金額は先入先出法で1,500円、移動平均法で1,350円とちがう答えになりましたね。「計算方法を変えただけで在庫の金額が変わってしまうの?」と不思議に感じるかもしれません。でも、これはミスではありません。払出単価を決めるルールが違えば、残る在庫の評価額も変わる ―― これは会計の世界ではごく自然なことです。どちらか一方を選んで継続して使う、というのが会計のお約束になっています。この「評価方法の選択」という論点は、会計の教科書でも棚卸資産のところで再会しますよ。

5. 証ひょうから仕訳を起こす

ここまでの学習では、取引はいつも「商品100,000円を掛けで仕入れた」のように、きれいな日本語の文章で与えられてきました。でも、よく考えてみてください。実際の会社で、そんな親切な文章がどこかに置いてあるでしょうか。ありません。経理担当者の手元にあるのは、取引のたびに受け取った・発行した1枚の紙(またはデータ)だけです。

この、取引が実際にあったことを裏づける書類を証ひょう(しょうひょう)といいます。「証憑」と書きます。領収書、請求書、納品書、銀行が送ってくる当座勘定照合表、給与支払明細書 ―― これらはすべて証ひょうです。証ひょうを読み取って仕訳に翻訳する、というのが経理の仕事の出発点なのですね。この「証ひょうから仕訳を起こす」形式は、日商簿記3級の出題範囲に含まれています。

証ひょうどんな書類か読み取れること
領収書代金を受け取った側が発行し、支払った側に渡すいつ・いくら・何の代金を・どんな方法で支払ったか
請求書代金を請求する側が発行する品目・数量・単価・消費税・支払期日(=後払い=掛けや未払金)
納品書商品を納めるときに添える実際に届いた品物と数量(請求書との照合に使う)
当座勘定照合表銀行が発行する当座預金の入出金明細小切手の決済、振込の入金など当座預金の増減
給与支払明細書従業員に渡す給料の内訳書給料総額と、源泉所得税・社会保険料の預り金(第7章)

5.1 領収書を読む

まずは、いちばん身近な領収書から。事務用品を現金で買ったときに受け取った、次のような1枚を見てみましょう。

領収書のサンプル。日付X5年6月10日、宛名 株式会社KKT商事 御中、金額5000円、但し書き 事務用品代として、支払方法 現金、発行者 文具のミドリ商会
図 13-9 領収書のサンプル。仕訳を起こすときに見るのは日付・金額・但し書き・支払方法の4か所です。宛名が自社(株式会社KKT商事)になっていることも確認します。

読み取りの手順は、たった3ステップです。

  1. 日付を見て、いつの取引かを決める(X5年6月10日)。
  2. 但し書きを見て、借方の勘定科目を決める。「事務用品代」なら消耗品費、「タクシー代」なら旅費交通費、「電話料金」なら通信費、というぐあいです。ここが仕訳のいちばんの山場ですね。
  3. 支払方法と金額を見て、貸方を決める。「現金」とあるので貸方は現金、金額は5,000円です。

Q. 図13-9の領収書にもとづいて、仕訳を示してください。

A. 但し書きが「事務用品代」なので、借方は費用の消耗品費。支払方法が「現金」なので、貸方は現金です。金額はどちらも5,000円。
(借)消耗品費 5,000 /(貸)現金 5,000
借方5,000=貸方5,000で一致します。文章の問題文がなくても、こうして1枚の紙から仕訳が起こせるのですね。

但し書きが「お品代として」のようにあいまいなときは、それだけで勘定科目を決めることはできません。実務では、そういう領収書はできるだけ受け取らないようにします。証ひょうを読むときは、まず但し書きや品名の欄に目を走らせる ―― そこが勘定科目を決める手がかりになる、と覚えておいてください。

5.2 請求書を読む ―― 消費税は税抜方式で

次は請求書です。ここで大事なのは、その請求書を受け取ったのか、発行したのかという立場の確認です。仕入先から請求書を受け取ったのなら、当社は代金を払う側 ―― つまり仕入の取引です。逆に、自社が発行した請求書の控えなら、代金を受け取る側なので売上の取引になります。

請求書のサンプル。大阪商事株式会社が株式会社KKT商事宛に発行。A商品40個@1500、B商品20個@2000、小計100000円、消費税10000円、合計110000円、翌月末振込
図 13-10 請求書のサンプル(仕入先から受け取ったもの)。小計・消費税・合計が分けて書かれている点と、「7月31日までにお振込みください」という後払いの記載に注目してください。

この請求書からは、次の3つが読み取れます。

Q. 図13-10の請求書を受け取ったときの仕訳を示してください。当社は商品売買を三分法で処理し、消費税は税抜方式によります。

A. 本体100,000円が仕入、消費税10,000円が仮払消費税、そして合計110,000円が後日払う買掛金です。
(借)仕入 100,000・仮払消費税 10,000 /(貸)買掛金 110,000
借方 100,000 + 10,000 = 110,000 = 貸方110,000 で、しっかり一致しています。
なお、この請求書を発行した側(大阪商事株式会社)から見れば、まったく同じ紙が
(借)売掛金 110,000 /(貸)売上 100,000・仮受消費税 10,000
という仕訳になります。1枚の証ひょうが、立場によって鏡のように反転する ―― おもしろいですね。

「証ひょうから仕訳を起こす」と聞くと、なんだか新しい論点が増えたように感じるかもしれません。でも安心してください。仕訳のルールそのものは、これまで学んだものと1ミリも変わりません。変わるのは、取引の情報が「文章」ではなく「書類」の形で与えられる、という入口の部分だけです。書類の上で、金額はどこか、日付はどこか、相手は誰か、支払いは済んでいるのか ―― と目で拾っていく作業に慣れれば、あとはいつもどおり。実務でも試験でも、この「読み取り」に落ち着いて取り組めることが、そのまま力になります。

6. 伝票会計 ―― 3伝票制と仕訳日計表

ここまでは、取引をすべて仕訳帳に記入する前提で話してきました。ですが実務では、取引のたびに1冊の仕訳帳に書き込むのではなく、1取引を1枚の紙(伝票)に書く方法が広く使われています。これを伝票会計(でんぴょうかいけい)といいます。伝票なら、複数の担当者が同時に手分けして起票できて便利なのですね。

日商簿記3級で学ぶのは3伝票制(さんでんぴょうせい)です。取引を「現金が増える/減る/動かない」の3タイプに仕分けて、それぞれ専用の伝票に書きます。

3伝票制の役割。入金伝票・出金伝票・振替伝票の3種類とそれぞれの使い分け
図 13-11 3伝票制の3枚の伝票。現金が動く取引は入金・出金伝票へ、現金が動かない取引は振替伝票へ、と仕分けます。

Q. 次の取引を、3伝票制ではどの伝票に、どう起票しますか。
(a) 売掛金40,000円を現金で回収した
(b) 事務用の消耗品5,000円を現金で買った
(c) 商品80,000円を掛けで仕入れた

A.

6.1 一部が現金の取引 ―― 分解方式と擬制方式

少しやっかいなのが、代金の一部を現金で、残りを掛けで払う(受け取る)ような取引です。この場合、1つの取引が「現金が動く部分」と「現金が動かない部分」の両方を含んでしまいます。そこで、起票のしかたに2つの方式があります。

一部現金取引の起票。分解方式と擬制方式の2つの起票方法の比較
図 13-12 一部現金取引の起票。分解方式は取引をそのまま現金分と掛け分に分けます。擬制方式はいったん全額を掛けとみなし、あとで現金支払を起こします。どちらでも合計仕訳は同じになります。

どちらの方式でも、伝票を合算して仕訳に戻せば (借)仕入 100,000 /(貸)現金 30,000・買掛金 70,000 となり、まったく同じ結果になります。借方も貸方も合計100,000円で一致していることを確かめてください。

6.2 仕訳日計表 ―― 1日分の伝票をまとめて元帳へ

さて、伝票を起票したあとはどうするのでしょうか。1枚ずつ総勘定元帳に転記していく方法もありますが、取引の多い会社では伝票が1日に何十枚、何百枚と出ます。それを1枚ずつ転記していたら、元帳は同じ勘定の記入でびっしり埋まってしまい、手間もミスも増えてしまいますね。

そこで使うのが仕訳日計表(しわけにっけいひょう)です。1日分の伝票を勘定科目ごとに集計した一覧表で、これを1枚つくってから、そこに集まった合計額だけを総勘定元帳へ転記します。1枚ずつ転記する個別転記に対して、この方法を合計転記(ごうけいてんき)といいます。

伝票会計の流れは 取引 → 伝票 → 仕訳日計表 → 総勘定元帳 です。仕訳帳の代わりを伝票と仕訳日計表がつとめている、と考えてください。1日分をまとめるので「日計表」、1週間分をまとめるなら「仕訳週計表」になります。

では、実際につくってみましょう。ある会社のX5年6月1日に、次の6枚の伝票が起票されたとします。

1日分の伝票6枚を勘定科目ごとに集計して仕訳日計表を作る例。借方合計と貸方合計がともに220000円で一致している
図 13-13 1日分の伝票(6枚)から仕訳日計表をつくる流れ。同じ勘定科目の金額を借方・貸方それぞれで足し合わせるだけです。最後に借方合計=貸方合計になることを必ず確かめます。

集計のしかたは、次の2ステップだけです。

  1. 伝票を仕訳に戻す:入金伝票は「(借)現金 /(貸)相手科目」、出金伝票は「(借)相手科目 /(貸)現金」、振替伝票はそのまま。
  2. 勘定科目ごとに、借方・貸方それぞれを合計する:たとえば現金なら、入金伝票の30,000円と20,000円が借方に集まって50,000円、出金伝票の25,000円と5,000円が貸方に集まって30,000円、というぐあいです。

Q. 図13-13の6枚の伝票から、仕訳日計表の「売掛金」の行の借方・貸方の金額を求めてください。また、借方合計と貸方合計を計算して、一致することを確かめてください。

A. 売掛金が動いている伝票は2枚です。
・入金伝票No.101「売掛金 30,000」…… 現金で回収したので売掛金は減少。よって貸方 30,000円。
・振替伝票No.302「売掛金 80,000 / 売上 80,000」…… 掛け売上なので売掛金は増加。よって借方 80,000円。
次に全体の合計です。
借方 = 現金50,000 + 売掛金80,000 + 買掛金25,000 + 仕入60,000 + 消耗品費5,000 = 220,000円
貸方 = 現金30,000 + 売掛金30,000 + 買掛金60,000 + 売上100,000 = 220,000円
ぴったり一致しましたね。伝票1枚ごとに借方と貸方が同額なのですから、それを全部足した日計表でも一致するのは当然です。逆にいえば、一致しなければどこかで集計ミスをしているということ。この検算は必ずやりましょう。

仕訳日計表ができたら、いよいよ総勘定元帳への合計転記です。日計表の1行が、そのまま元帳の1つの勘定に対応します。

仕訳日計表の現金の行から総勘定元帳の現金勘定へ合計額をまとめて転記する例。前月繰越100000円に借方50000円と貸方30000円を加減して残高120000円になる
図 13-14 仕訳日計表から総勘定元帳への合計転記。摘要欄には取引の内容ではなく「仕訳日計表」と書きます。1日分がたった2行にまとまるので、元帳がすっきりします。

ここで、日計表と元帳にある「元丁(もとちょう)」「仕丁(しちょう)」という欄にも触れておきましょう。「丁」とは帳簿のページ番号のことです。

お互いに相手の居場所を書き合っておくことで、「この金額はどこから来たの?」「あの伝票はどこへ行ったの?」を後からたどれるようにしているのですね。これを相互参照といいます。

仕訳日計表は、じつは試算表と同じ形をしています。左に借方、右に貸方、真ん中に勘定科目 ―― 第3章で学んだ合計試算表を、1日分だけ切り取ったもの、といってもよいでしょう。「新しい表が出てきた」と身構えるより、「知っている形が、集計の単位を変えて再登場した」ととらえてください。簿記の道具は、じつは少ない部品の組み合わせでできています。ここまで来たあなたなら、もうその感覚がつかめているはずですよ。

7. 訂正仕訳 ―― まちがえた仕訳を直す

簿記の作業をしていると、どうしても記入をまちがえることがあります。金額を書きちがえたり、勘定科目をとりちがえたり。このとき、いったん記帳した仕訳を消しゴムで消したり、二重線で書き直したりしてはいけません。帳簿は正式な記録なので、あとから改ざんしたと疑われないよう、「新しい仕訳を追加する」ことで訂正するのがルールです。この訂正のための仕訳を訂正仕訳(ていせいしわけ)といいます。

考え方はとてもシンプルです。次の3ステップで進めます。

訂正仕訳の3ステップ。誤った仕訳を逆仕訳で取り消し、正しい仕訳を行い、両者をまとめる
図 13-15 訂正仕訳の考え方。①誤った仕訳を確認 → ②その逆仕訳で取り消す → ③正しい仕訳を行う。②と③をまとめたものが「訂正仕訳」です。
  1. 誤った仕訳を確認する:帳簿に記入されてしまっている、まちがった仕訳を書き出します。
  2. 逆仕訳で取り消す:誤った仕訳の借方・貸方をそっくり入れ替えた仕訳(逆仕訳)を立てます。これで誤った記録の効果が打ち消されます。
  3. 正しい仕訳を行う:本来あるべき正しい仕訳を立てます。

実務では、②の逆仕訳と③の正しい仕訳を1つにまとめた仕訳を「訂正仕訳」として記帳します。同じ勘定が借方と貸方の両方に出てきたら、その分は相殺(そうさい)して消します。

Q. 売掛金50,000円を現金で回収した際、誤って (借)現金 50,000 /(貸)売上 50,000 と記帳していました。正しくは貸方が「売掛金」であるべきです。訂正仕訳を示してください。

A. 3ステップで考えます。
① 誤った仕訳:(借)現金 50,000 /(貸)売上 50,000
② 逆仕訳(取消):(借)売上 50,000 /(貸)現金 50,000
③ 正しい仕訳:(借)現金 50,000 /(貸)売掛金 50,000
②と③をまとめると、借方・貸方の両方に出てくる「現金 50,000」が相殺されて消えます。残るのは ――
(借)売上 50,000 /(貸)売掛金 50,000
これが訂正仕訳です。誤って計上した売上を取り消し、本来立てるべきだった売掛金の減少を記録している、と読み解けますね。

訂正仕訳は「まちがい探し」のようで、慣れるまでは頭がこんがらがりがちです。コツは、いきなり答えを出そうとせず、必ず3ステップを紙に書き出すこと。②の逆仕訳は「借方と貸方をひっくり返すだけ」なので機械的に作れますし、③の正しい仕訳も落ち着いて考えれば立てられます。あとは同じ勘定科目を相殺するだけ。急がば回れで、ステップを省かないのが正解への近道です。

💡 第13章 要点まとめ

おつかれさまでした。そして ―― 本当におめでとうございます。これで「ゼロからわかる簿記」の全13章、すべて修了です。5要素の分類から始まったあなたは、いまや仕訳を切り、帳簿に転記し、決算整理を行い、財務諸表を組み立て、補助簿や伝票を扱い、証ひょうから仕訳を起こすことまでできるようになりました。日商簿記3級の土台は、しっかり身についています。

ここまで学んだあなたは、会計の教科書を読む準備が完全に整いました。あの、最初は呪文のように見えた「仕訳」や「勘定科目」も、もう怖くありません。むしろ「知っている言葉」として、すらすら目に入ってくるはずです。次はいよいよ、アクチュアリー試験の本丸 ―― 会計(財務会計)の学習へと進みましょう。あなたが下ごしらえしてきた簿記の力が、ここから大きく花開きます。

🎓 会計 第1章へ進む →

長い道のりを最後まで歩き切った、あなたの努力に心から拍手を送ります。ここからの学習も、きっと大丈夫。自信を持って進んでいってくださいね。

✍️ 総仕上げ演習(クリックで解答表示)

いよいよ最後の演習です。全13章の範囲を横断する問題を19問そろえました。仕訳を中心に、補助簿・商品有高帳・伝票・仕訳日計表・証ひょう・固定資産台帳・訂正仕訳・決算整理まで、これまで学んだ力を総動員して解いてみましょう。まずは自分で紙と電卓で解いてから、解答を開いてくださいね。借方合計と貸方合計が一致するかも、毎回かならず確かめましょう。

問 1(開業と基本取引) 次の取引を仕訳してください。
(1) 株式を発行し、現金1,000,000円の出資を受けて会社を設立した。
(2) 事務用の備品200,000円を購入し、代金は月末に支払うことにした。
(3) 従業員に給料150,000円を現金で支払った。

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(1) (借)現金 1,000,000 /(貸)資本金 1,000,000

(2) (借)備品 200,000 /(貸)未払金 200,000
 ※商品以外のものを後払いで買ったので、買掛金ではなく未払金です。

(3) (借)給料 150,000 /(貸)現金 150,000

問 2(商品売買・諸掛・返品) 次の一連の取引を、三分法で仕訳してください。
(1) 商品300,000円を掛けで仕入れ、引取運賃5,000円を現金で支払った。
(2) 上記商品のうち20,000円分を、品違いのため返品した。
(3) 商品を450,000円で売り上げ、代金は掛けとした。なお発送費8,000円(当社負担)を現金で支払った。

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(1) (借)仕入 305,000 /(貸)買掛金 300,000・現金 5,000
 ※引取運賃(仕入諸掛)は仕入原価に含めるので、仕入は305,000円。借方305,000=貸方305,000で一致。

(2) (借)買掛金 20,000 /(貸)仕入 20,000
 ※仕入戻し。仕入と買掛金を取り消します。

(3) (借)売掛金 450,000 /(貸)売上 450,000
  (借)発送費 8,000 /(貸)現金 8,000
 ※当社負担の発送費は費用(発送費)として処理します。

問 3(クレジット売掛金) 商品100,000円をクレジット払いの条件で売り上げた。信販会社への手数料は販売代金の3%で、販売時に計上する。この取引を仕訳してください。

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手数料 = 100,000 × 3% = 3,000円。信販会社に対する債権なのでクレジット売掛金を使います。

(借)クレジット売掛金 97,000・支払手数料 3,000 /(貸)売上 100,000

借方 97,000+3,000=100,000=貸方100,000 で一致します。

問 4(現金過不足) 次の一連の取引を仕訳してください。
(1) 現金の実際有高が、帳簿残高より3,000円不足していた。
(2) 後日調査したところ、通信費2,000円の記帳漏れが原因と判明した。
(3) 決算日になっても、残り1,000円の原因は不明のままだった。

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(1) (借)現金過不足 3,000 /(貸)現金 3,000

(2) (借)通信費 2,000 /(貸)現金過不足 2,000

(3) (借)雑損 1,000 /(貸)現金過不足 1,000
 ※決算日まで原因不明の不足分は雑損へ振り替えます。(過剰なら雑益)

問 5(手形・電子記録債権) 次の取引を仕訳してください。
(1) 商品200,000円を仕入れ、代金は約束手形を振り出して支払った。
(2) 売掛金150,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録が行われた。

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(1) (借)仕入 200,000 /(貸)支払手形 200,000
 ※手形を振り出した側は支払手形(負債)。

(2) (借)電子記録債権 150,000 /(貸)売掛金 150,000
 ※売掛金が電子記録債権に姿を変えます。

問 6(貸付金と利息) 次の取引を仕訳してください。
(1) 取引先に1,200,000円を、期間1年・年利3%で貸し付け、現金を渡した。
(2) 満期日に、元本と1年分の利息を現金で受け取った。

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(1) (借)貸付金 1,200,000 /(貸)現金 1,200,000

(2) 利息 = 1,200,000 × 3% = 36,000円。
(借)現金 1,236,000 /(貸)貸付金 1,200,000・受取利息 36,000
 ※借方1,236,000=貸方1,200,000+36,000 で一致します。

問 7(固定資産・減価償却・売却) 備品(取得原価800,000円、耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法、記帳は間接法)について、次の取引を仕訳してください。
(1) 期末に、1年分の減価償却を行う。
(2) 2年間使用したのち(減価償却累計額320,000円)、期首にこの備品を450,000円で売却し、代金は現金で受け取った。

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(1) 年間の減価償却費 = 800,000 ÷ 5年 = 160,000円。
(借)減価償却費 160,000 /(貸)備品減価償却累計額 160,000

(2) 帳簿価額 = 取得原価800,000 − 累計額320,000 = 480,000円。売却額450,000円はこれより30,000円低いので、固定資産売却損が出ます。
(借)現金 450,000・備品減価償却累計額 320,000・固定資産売却損 30,000 /(貸)備品 800,000
 ※借方 450,000+320,000+30,000=800,000=貸方800,000 で一致します。

問 8(貸倒れと貸倒引当金) 次の一連の取引を仕訳してください。
(1) 決算で、売掛金の期末残高500,000円に対し2%の貸倒引当金を差額補充法で設定する。設定前の引当金残高は4,000円である。
(2) 翌期、前期発生の売掛金8,000円が貸し倒れた(引当金残高は10,000円)。
(3) さらに当期発生の売掛金5,000円が貸し倒れた((2)の処理後、引当金残高は2,000円)。

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(1) 設定必要額 = 500,000 × 2% = 10,000円。差額補充法なので、10,000 − 4,000 = 6,000円を繰り入れます。
(借)貸倒引当金繰入 6,000 /(貸)貸倒引当金 6,000

(2) 前期以前に発生した債権の貸倒れは、引当金を取り崩します。
(借)貸倒引当金 8,000 /(貸)売掛金 8,000

(3) 当期に発生した売掛金の貸倒れは、引当金の対象外なので全額を貸倒損失とします。
(借)貸倒損失 5,000 /(貸)売掛金 5,000

問 9(株式会社の配当・税金) 次の取引を仕訳してください。
(1) 株主総会で、繰越利益剰余金を財源に配当500,000円を行うことを決議し、あわせて利益準備金50,000円を積み立てた。
(2) 後日、上記の配当金を当座預金から支払った。
(3) 決算で、当期の法人税、住民税及び事業税が240,000円と確定した。中間納付として100,000円を仮払法人税等で処理済みである。

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(1) (借)繰越利益剰余金 550,000 /(貸)未払配当金 500,000・利益準備金 50,000
 ※配当はまだ支払っていないので未払配当金(負債)。借方550,000=貸方550,000で一致。

(2) (借)未払配当金 500,000 /(貸)当座預金 500,000

(3) (借)法人税等 240,000 /(貸)仮払法人税等 100,000・未払法人税等 140,000
 ※中間納付分を差し引いた140,000円が未払法人税等。借方240,000=貸方240,000で一致。

問 10(決算整理・経過勘定ほか) 次の決算整理事項を仕訳してください。
(1) 当期に支払った1年分の保険料24,000円のうち、4か月分は次期の分である。
(2) 当期の家賃で、未払いの分が30,000円ある。
(3) 未使用の収入印紙3,000円分を、貯蔵品に振り替える(購入時に租税公課で処理済み)。

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(1) 前払分 = 24,000 × 4か月/12か月 = 8,000円。
(借)前払保険料 8,000 /(貸)保険料 8,000

(2) (借)支払家賃 30,000 /(貸)未払家賃 30,000

(3) (借)貯蔵品 3,000 /(貸)租税公課 3,000

問 11(補助簿の選択) 次の取引は、それぞれどの補助簿に記入されますか。当てはまるものをすべて挙げてください。
(1) 商品を掛けで仕入れ、引取運賃を現金で支払った。
(2) 得意先に対する売掛金を、同社振出の約束手形で受け取った。

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(1) 動いたのは「仕入」「買掛金」「商品(入庫)」「現金(引取運賃の支払)」です。よって 仕入帳・買掛金元帳・商品有高帳・現金出納帳 の4つ。

(2) 動いたのは「受取手形(増加)」「売掛金(減少)」です。よって 受取手形記入帳・売掛金元帳 の2つ。

問 12(商品有高帳の計算) ある商品について、次の資料がある。先入先出法により、当月の売上原価と月末在庫の金額を求めてください。
前月繰越 20個(@200円)、当月仕入 30個(@250円)、当月売上 40個。

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先入先出法では、古い在庫から順に払い出します。売上40個の内訳は次のとおり。

・@200 × 20個 = 4,000円(前月繰越分)
・@250 × 20個 = 5,000円(当月仕入分から20個)

売上原価 = 4,000 + 5,000 = 9,000円

月末在庫は、残った当月仕入分 @250 × 10個 = 2,500円。
検算:総額(4,000+7,500=11,500円)= 売上原価9,000 + 月末在庫2,500 で一致します。

問 13(伝票の起票) 商品150,000円を売り上げ、代金のうち50,000円は現金で受け取り、残額100,000円は掛けとした。3伝票制(分解方式)で、どの伝票にどう起票するか示してください。

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取引を「現金の部分」と「掛けの部分」に分解します。

・入金伝票:売上 50,000(現金が増える取引。相手科目は売上)
・振替伝票:売掛金 100,000 / 売上 100,000

合計すると(借)現金 50,000・売掛金 100,000 /(貸)売上 150,000 となり、もとの取引と一致します。

問 14(訂正仕訳) 備品300,000円を現金で購入した際、誤って (借)消耗品費 300,000 /(貸)現金 300,000 と記帳していた。正しい勘定科目は「備品」である。訂正仕訳を示してください。

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3ステップで考えます。

① 誤った仕訳:(借)消耗品費 300,000 /(貸)現金 300,000
② 逆仕訳(取消):(借)現金 300,000 /(貸)消耗品費 300,000
③ 正しい仕訳:(借)備品 300,000 /(貸)現金 300,000

②と③をまとめると、借方・貸方の両方にある「現金 300,000」が相殺されて消えます。

訂正仕訳:(借)備品 300,000 /(貸)消耗品費 300,000

問 15(決算整理・売上原価の算定) 決算にあたり、次の資料から売上原価を仕入勘定で算定する決算整理仕訳を示し、あわせて当期の売上原価の金額を求めてください。
期首商品棚卸高 80,000円、当期商品仕入高 620,000円、期末商品棚卸高 100,000円。

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いわゆる「しーくりくりしー」です。期首の繰越商品を仕入勘定へ、期末の在庫を繰越商品へ振り替えます。

(借)仕入 80,000 /(貸)繰越商品 80,000
(借)繰越商品 100,000 /(貸)仕入 100,000

売上原価 = 期首商品80,000 + 当期仕入620,000 − 期末商品100,000 = 600,000円
 ※この600,000円が、整理後の仕入勘定の残高(=売上原価)になります。

問 16(証ひょうからの仕訳) 次の証ひょうにもとづいて仕訳してください。商品売買は三分法、消費税は税抜方式によります。
(1) 仕入先の九州物産株式会社から次の内容の請求書を受け取った。代金は翌月末に支払う。
  甲商品 25個 @1,200円/乙商品 15個 @3,000円
  小計 75,000円 消費税(10%) 7,500円 ご請求金額合計 82,500円
(2) 出張先で利用したタクシー代3,600円を現金で支払い、「金 3,600円也 但し タクシー代として」と記載された領収書を受け取った。

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(1) 本体価格は 甲商品 25個 × @1,200 = 30,000円、乙商品 15個 × @3,000 = 45,000円で、合計75,000円。これが仕入です。消費税7,500円は税抜方式なので仮払消費税(資産)へ。代金は翌月末払い、つまり商品代金の後払いなので買掛金です。

(借)仕入 75,000・仮払消費税 7,500 /(貸)買掛金 82,500
 ※借方 75,000+7,500=82,500=貸方82,500 で一致します。

(2) 但し書きの「タクシー代」から、借方は旅費交通費と判断します。現金で支払っているので貸方は現金です。

(借)旅費交通費 3,600 /(貸)現金 3,600

問 17(仕訳日計表の金額算定) X5年7月10日に、3伝票制により次の6枚の伝票が起票された。
 入金伝票:「売掛金 45,000」/「売上 15,000」
 出金伝票:「仕入 22,000」/「水道光熱費 8,000」
 振替伝票:「売掛金 90,000 / 売上 90,000」/「仕入 50,000 / 買掛金 50,000」
この日の仕訳日計表について、(1)「現金」の借方・貸方の金額、(2)「売掛金」の借方・貸方の金額、(3) 借方合計と貸方合計 を求めてください。

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(1) 現金 入金伝票は借方がいつも現金なので、借方に 45,000 + 15,000 = 60,000円。出金伝票は貸方がいつも現金なので、貸方に 22,000 + 8,000 = 30,000円。

(2) 売掛金 入金伝票「売掛金 45,000」は現金で回収した取引なので売掛金の減少、つまり貸方に 45,000円。振替伝票「売掛金 90,000 / 売上 90,000」は掛け売上なので借方に 90,000円。

(3) 残りの科目も集計すると、買掛金は貸方50,000、売上は貸方 15,000+90,000=105,000、仕入は借方 22,000+50,000=72,000、水道光熱費は借方8,000です。

借方合計 = 60,000 + 90,000 + 72,000 + 8,000 = 230,000円
貸方合計 = 30,000 + 45,000 + 50,000 + 105,000 = 230,000円
 ※ぴったり一致しました。一致しないときは、どこかで集計をまちがえています。

問 18(固定資産台帳の空欄計算) 当社の会計期間はX4年4月1日〜X5年3月31日(決算は年1回、3月31日)である。固定資産台帳には次の備品が記載されている。
 備品C:取得年月日 X3年7月1日、取得原価 960,000円、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法、記帳は間接法。
(1) 期首減価償却累計額、(2) 当期減価償却費、(3) 期末帳簿価額 を求め、(4) 当期の減価償却に関する決算整理仕訳を示してください。

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まず1年分の減価償却費を出します。960,000 ÷ 8年 = 120,000円。

(1) 前期(X3年4月1日〜X4年3月31日)は、7月1日に取得したので7月から3月までの9か月分しか償却していません。
期首減価償却累計額 = 120,000 × 9か月 ÷ 12か月 = 90,000円

(2) 当期は1年間まるごと使用しているので、月割は不要です。
当期減価償却費 = 120,000円

(3) 期末帳簿価額 = 取得原価 − 期首減価償却累計額 − 当期減価償却費
 = 960,000 − 90,000 − 120,000 = 750,000円
 ※期末の減価償却累計額は 90,000+120,000=210,000円。960,000 − 210,000 = 750,000円 と検算できます。

(4) (借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000

問 19(仕入帳と純仕入高) 当月の仕入帳には、次の3件が記入されている。
 6/4 甲商店(掛け) 商品X 100個 @400円
 6/9 甲商店(掛け返品) 商品X 5個 @400円
 6/17 乙商店(現金) 商品Y 60個 @500円、引取運賃1,500円を現金で支払い
(1) 当月の総仕入高・仕入戻し高・純仕入高を求め、(2) 6月17日の取引の仕訳を示してください。

解答を見る

(1) 6/4 は 100個 × @400 = 40,000円。6/17 は商品代 60個 × @500 = 30,000円に引取運賃1,500円を加えた31,500円(仕入諸掛は仕入原価に含めるのでしたね)。

総仕入高 = 40,000 + 31,500 = 71,500円
仕入戻し高 = 5個 × @400 = 2,000円
純仕入高 = 71,500 − 2,000 = 69,500円

(2) 商品代金と引取運賃を合わせた31,500円を仕入とし、いずれも現金で支払っています。
(借)仕入 31,500 /(貸)現金 31,500
 ※借方31,500=貸方31,500 で一致します。

19問、おつかれさまでした。これで「ゼロからわかる簿記」は完全修了です。自信を持って、会計の学習へ進みましょう!

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