投資理論

『新・証券投資論Ⅰ・Ⅱ』— 配点50点「投資理論」の源流となる教科書を知る

📅 2026年8月16日 公開

✍️ 企画: アクチュアリー受験研究会 代表 MAH / 監修: 栗山太一(公認会計士・税理士)|プロフィールを見る

アクチュアリー試験「投資理論」の指定教科書『新・証券投資論』理論篇・実務篇(日本経済新聞出版)を紹介。小林孝雄・芹田敏夫両氏による理論篇の体系、実務篇の位置づけ、試験範囲との対応と読み進め方を解説します。

配点50点の「源流」を知る

KKTの合否を握る投資理論(配点50点)。その指定教科書が、『新・証券投資論Ⅰ 理論篇』『新・証券投資論Ⅱ 実務篇』(日本経済新聞出版)の2巻です。証券アナリスト試験の基本書として1991年から読み継がれてきた『証券投資論』を、現代ファイナンス理論の発展を踏まえて全面的に再構築したもので、日本語で読める証券投資理論の教科書としては最高峰の一つと言ってよいでしょう。

新・証券投資論Ⅰ 理論篇
小林孝雄・芹田敏夫 著/日本証券アナリスト協会 編/日本経済新聞出版
ポートフォリオ理論・CAPM・デリバティブ評価など投資理論の体系書
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新・証券投資論Ⅱ 実務篇
伊藤敬介 ほか著/日本証券アナリスト協会 編/日本経済新聞出版
債券分析・株式分析・デリバティブ投資など運用実務の各論
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著者たち — 日本のファイナンス研究・実務の第一線

理論篇を執筆した小林孝雄氏は東京大学で長く教鞭をとった、日本の現代ファイナンス理論研究を切り拓いてきた研究者です。共著者の芹田敏夫氏は青山学院大学教授で、資産価格論・実証ファイナンスを専門としています。学界の第一線にいる二人が「理論の背骨」を通して書いているからこそ、理論篇は単なる公式集ではなく、効用理論から始まりデリバティブ評価まで一本の論理でつながる体系書になっています。

一方の実務篇は、日本証券アナリスト協会の編集のもと、運用実務の最前線にいる実務家・研究者たち(伊藤敬介氏ほか)が執筆。債券・株式・デリバティブという資産クラスごとに、実際の運用で使われる分析手法が整理されています。「理論は学者が、実務は実務家が」という分担が、この2巻構成の良さです。

2巻の構成と試験範囲との対応

アクチュアリー試験の投資理論は、この2巻の中から出題範囲となる章が指定されています。全章が範囲になるわけではなく、理論篇は第1〜3章・第5章・第7章、実務篇は第1章・第2章・第4章が指定章です(本記事執筆時点。最新の指定章は受験年度の資格試験要領で必ず確認してください)。本サイトの投資理論講義(理論編5章+実務編3章)は、この指定章を通し番号に振り直して構成しています。

本サイトの講義教科書の指定章主な内容
理論編 第1章Ⅰ 理論篇 第1章投資家の選好(期待効用・確実等価額)
理論編 第2章Ⅰ 理論篇 第2章ポートフォリオ理論
理論編 第3章Ⅰ 理論篇 第3章CAPM(資本資産評価モデル)
理論編 第4章Ⅰ 理論篇 第5章リスクニュートラル・プライシング
理論編 第5章Ⅰ 理論篇 第7章デリバティブの評価理論
実務編 第1章Ⅱ 実務篇 第1章債券投資分析
実務編 第2章Ⅱ 実務篇 第2章株式投資分析
実務編 第3章Ⅱ 実務篇 第4章デリバティブ投資分析

表のとおり、教科書の章番号は飛び番です(理論篇の第4章・第6章、実務篇の第3章などは指定外)。一方で出題の中心である理論篇は、効用理論→ポートフォリオ→CAPM→リスク中立→オプション評価という積み上げ構造が指定章のあいだでも保たれています。指定章を順番どおりに進めるのが結局いちばんの近道です。

「難しい」と感じたときの読み方

正直に言えば、本書は初学者にとって歯ごたえのある教科書です。数式の展開が速く、行間を自分で埋める力が求められます。そこでおすすめしたいのが、次の読み方です。

  1. 先に本サイトの講義で「地図」を作る — 各章の講義は、本書の数式を1ステップずつ噛み砕き、図で直感を補っています。講義→教科書の順なら、行間で止まらずに読めます。
  2. 数値例を必ず手で再現する — 2資産ポートフォリオの分散、二項モデルの1期間評価など、小さな数値例を自分の手で計算してから一般式に進むと定着が段違いです。
  3. 実務篇は「理論篇の応用問題集」として読む — デュレーションもDDMも、理論篇で学んだ割引と均衡の考え方の応用です。つながりを意識すると2巻目は速く読めます。
講義動画も順次公開しています。YouTube「年金の大学」チャンネルでは会計編に続いて投資理論編も配信予定なので、通勤時間の耳学習と組み合わせると、難所の突破がぐっと楽になります(記事末尾のチャンネル登録ボタンからどうぞ)。

まとめ — 50点分の投資に見合う教科書

投資理論はKKTで最も配点が大きく、そして最も「本物の理解」が問われる分野です。『新・証券投資論』は決して易しい本ではありませんが、マスターすれば試験の50点だけでなく、アクチュアリー実務での資産運用・ALM・リスク管理の共通言語が手に入ります。講義と併走しながら、じっくり取り組んでください。

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※ 厳密に言えば(補注)

  • 共著者・芹田敏夫氏の肩書は本記事執筆時点の紹介です。著者の所属・肩書は異動により変わることがあり(現在は青山学院大学名誉教授とする情報もあります)、正確には最新版の奥付・著者略歴をご確認ください。
  • 「投資理論はKKTで最も配点が大きく」は、『会計・経済・投資理論』という1科目内での3分野(会計・経済・投資理論)の比較です。アクチュアリー1次試験の科目間の比較ではありません。

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📚 参考文献・参考リンク

  • 小林孝雄・芹田敏夫『新・証券投資論Ⅰ 理論篇』日本経済新聞出版
  • 伊藤敬介ほか『新・証券投資論Ⅱ 実務篇』日本経済新聞出版
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