アクチュアリー試験とは?仕組み・科目・難易度を完全解説【2027年度制度改正対応】
📅 2026年8月1日 公開
アクチュアリーとは — 「確率と統計で未来を設計する」専門職
アクチュアリーは、保険や年金の世界で将来のリスクを数理的に評価する専門家です。「30歳の人が今後1年間に亡くなる確率は?」「地震が起きたとき保険会社はいくら支払うことになる?」——こうした不確実な未来を、確率・統計を使って金額に翻訳し、保険料や年金の掛金、会社が積み立てるべき準備金を設計するのが仕事です。
日本では公益社団法人 日本アクチュアリー会が資格試験を実施しており、この試験に合格して所定の要件を満たすと「正会員(アクチュアリー)」を名乗ることができます。生命保険会社・損害保険会社・信託銀行・年金コンサルティング会社などで高い専門性を発揮できる、いわば「数理系資格の最高峰」の一つです。
試験の全体像 — 1次試験と2次試験
アクチュアリー試験は大きく1次試験(基礎科目)と2次試験(専門科目)の2段階に分かれています。
| 段階 | 科目 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 1次試験 (基礎科目) | 数学 | 確率・統計・モデリング |
| 生保数理 | 生命保険の数理 | |
| 損保数理 | 損害保険の数理 | |
| 年金数理 | 年金制度の数理 | |
| 会計・経済・投資理論(KKT) | ビジネスの共通言語 | |
| 2次試験 | 生保・損保・年金から1コース選択(各2科目) | 実務と専門判断 |
1次試験5科目にすべて合格すると「準会員」、さらに2次試験に合格し所定の要件を満たすと「正会員」になります。1次試験は科目合格制なので、1年に1科目ずつという受け方もできます。多くの受験生が最初の1〜2科目として選ぶのが、数学と、この記事の主役である KKT(会計・経済・投資理論)です。
受験の基本情報 — CBT方式・受験資格
- 試験時期: 例年12月に実施されます。
- 方式: CBT(Computer Based Testing)方式。テストセンターのパソコンで受験します。
- 受験資格: 学歴等の要件が定められていますが、大学生から社会人まで幅広い層が受験しています。詳細は日本アクチュアリー会の公式サイトで最新の要綱を確認してください。
KKT(会計・経済・投資理論)とは
KKTは「会計」「経済」「投資理論」の3分野を1科目にまとめた試験で、それぞれの頭文字からこう呼ばれています。配点は次の通りです。
| 分野 | 配点 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 会計 | 25点 | 財務諸表・簿記・資産評価・負債・純資産 |
| 経済 | 25点 | ミクロ経済学・マクロ経済学 |
| 投資理論 | 50点 | ポートフォリオ理論・CAPM・デリバティブ・債券/株式分析 |
合格ラインは「総得点60点以上」かつ「各分野で40%以上」。つまり会計10点・経済10点・投資理論20点という分野別の最低ラインを1つでも下回ると、総得点が60点を超えていても不合格になります。配点の半分を占める投資理論をどう攻略するかが、この科目の最大のテーマです。
他の1次科目が高度な数学を要求するのに対し、KKTは初学者が最初に取り組みやすい科目とされます。とはいえ範囲は広く、会計・経済・投資理論という毛色の違う3分野を並行して仕上げる計画性が求められます。標準的な学習時間の目安は200時間前後です。
【重要】2027年度からKKTは2科目に分割されます
日本アクチュアリー会の公式発表(2026年4月1日付)により、2027年度からKKTは廃止され、2つの新科目に再編されることが決まっています。
| 年度 | 科目の扱い |
|---|---|
| 2026年度(現行) | KKT 1科目・100点満点で合否判定 |
| 2027年度以降 | 「会計・経済・金融システム」と「リスクマネジメント・投資理論」の2科目に分割。それぞれ独立に合格が必要 |
ここで見逃せないのが経過措置です。2026年度までにKKTに合格した人は、所定の研修(特定分野2研修)を2027年9月までに受講・修了することで、新しい2科目に相当するものとみなされます。つまり——
どうやって勉強を始めるか
KKTの学習は「①講義で全体像を体系的に理解する → ②過去問ベースの演習で解ける形に変える → ③模擬試験で本番のシミュレーションをする」という3段階で進めるのが王道です。指定教科書は会計・経済・投資理論それぞれにあり(試験範囲と教科書参照)、いずれも大部なので、初学者がいきなり通読すると挫折しやすいのが実情です。
本サイト「ゼロから始めるKKT」は、この3分野を会計12章・経済9章・投資理論8章の全29章に再構成し、無料で公開しています。数式はすべて丁寧に導出し、図を約150点使って初学者向けに解説していますので、まずは気になる科目の第1章から読み始めてみてください。次回以降のコラムでは、科目ごとの具体的な勉強法を掘り下げていきます。
※ 厳密に言えば(補注)
- 受験資格について: 本文では「学歴等の要件」と記しましたが、2023年度試験から従来の学歴要件は撤廃されており、現在は「試験年度の3月31日時点で満18歳以上」であれば誰でも受験できるとされています。
- 合格ラインについて: 「総得点60点以上・各分野40%以上」は目安です。公式の合格基準は「満点の60%(各分野は満点の40%)を基準として試験委員会が相当と認めた得点」とされており、年度により基準点が調整される可能性があります。
- 経過措置の詳細について: 経過措置の対象者・研修の受講方法・研修未修了の場合の扱いなどの詳細は、日本アクチュアリー会の公式案内・最新の試験要領で必ず確認してください。
- 新2科目の出題範囲について: 「従来のKKTの範囲に加えて新分野」という説明は概要です。制度改正では既存論点の再配置や変更が行われる可能性もあるため、正確な出題範囲は新科目のシラバス公表後に新旧を対照して確認してください。
- CBTの解答形式について: 「選択肢をクリックして解答」は現行KKTの出題形式に即した説明です。CBT方式自体は解答形式を選択式に限定するものではないため、解答方法や画面操作の詳細は年度ごとの受験案内で確認してください。
- 模擬試験の環境について: 本サイトの模擬試験は日本アクチュアリー会の公式試験システムそのものではありません。「本番同等」とは、出題形式・試験時間・パソコン画面上で解答する学習体験を再現していることを指します。
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